村上春樹が「歌うがごとき文体」と称賛 作家、T・カポーティの真実 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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村上春樹が「歌うがごとき文体」と称賛 作家、T・カポーティの真実

連載「RADIO PA PA」

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週刊朝日#延江浩
延江浩(のぶえ・ひろし)/TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー

延江浩(のぶえ・ひろし)/TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー

映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』 (c) 2019, Hatch House Media Ltd.

映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』 (c) 2019, Hatch House Media Ltd.

 TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、本誌連載「RADIO PA PA」。今回は、トルーマン・カポーティについて。

【映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』の写真はこちら】

*  *  *
 僕はラジオ育ちだから声色で真実の度合いがわかる。映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』の証言者の「声」から、カポーティの生きた当時のアメリカそのものが浮き上がってきた。

 トルーマン・カポーティは、村上春樹さんが訳した『ティファニーで朝食を』や『クリスマスの思い出』(山本容子さんの銅版画)の作家として知っていた。『クリスマスの思い出』(文藝春秋刊)のあとがきで、春樹さんは「カポーティの文章的才気を余すところなく発揮した淀みのない、美しい、歌うがごとき文体」と書いている。僕は「弱者であり、貧しく、孤立している」登場人物たちとの無垢な友情に触れたくて繰り返し読んだが、今回の映画には少なからずショックを受けた。テレビ番組のトークショウでの過剰なふるまいとパーティ好きなスノビズム。「一口のシャンパンと世間話」と「噂と秘密話の交換会」に毎夜いそしむカポーティのいったいどこに「イノセント=無垢」があるのだろう。

「私はアル中である。私はヤク中である。私はホモセクシュアルである。私は天才である」。これが本作のキャッチコピー。

 ローレン・バコールやノーマン・メイラー、ジェイ・マキナニー、NY社交界の女王といわれたバーバラ・ペイリー、他にアンディ・ウォーホル、ダイアナ・ロスら綺羅星のような当時のアイコンが登場する。監督のイーブス・バーノーにいたっては、オバマ前アメリカ大統領と元ファーストレディのミシェル・オバマのソーシャル・セクレタリーだった。監督本人に「そんな立場から見るカポーティをどう思った?」と訊くと「何しろ黙っていられない、何でも喋る。だからミシェル(・オバマ)には絶対会わせられないな」とZoom画面で笑った。そんなカポーティの隠された孤独が徐々に浮き彫りになっていく構成については、「そこが一番苦労した。その本性を求めてタマネギの皮を1枚ずつむいていった。孤独への伏線を慎重に張りながら。すぐにわかるのではなく、結果として最後に出てくるイノセントを味わって欲しかった」。


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