中京大中京高の高橋宏斗 (c)朝日新聞社
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福岡大大濠高の山下舜平大 (c)朝日新聞社
明石商高の中森俊介 (c)朝日新聞社

 プロ野球の新人選択(ドラフト)会議は10月26日に都内で開かれる。新型コロナウイルスの影響で、高校野球は春夏の甲子園が中止になった。大学、社会人野球も公式戦が軒並み開催できず、各球団の指名人数は例年より少ないことが予想される。今年はどんなドラマが待ち受けているだろうか。

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 一人の高校生の決断で、各球団がドラフト戦略を見直す必要性に迫られた。高校生ナンバー1右腕の高橋宏斗(愛知・中京大中京高)だ。

 昨秋の明治神宮大会で優勝に貢献し、今夏の甲子園交流試合・智弁学園高戦では10回3失点11奪三振で完投勝利。球持ちの良いフォームで、直球は試合終盤でも150キロ以上を計測するプロ注目の逸材だ。もともと慶大に進学する意向で、各球団は指名を見送る方針だった。

 ところが、慶大のAO入試(総合型選抜)で不合格に。急転、プロ志望届を出すことを6日に表明した。在京球団のスカウトは、こう話す。

「高橋は積んでいるエンジンが違う。球が速いし、力強い。将来のエースになれる素材です。各球団が他選手から方針転換して1位に指名する可能性は十分にあります。4球団以上が競合するのではないでしょうか」

 地元の中日、将来のエースを担う逸材が欲しい楽天は1位指名が有力視される。

 この高橋にスケールで負けていないのが右腕・山下舜平大(福岡大大濠高)だ。身長189センチ、体重93キロの恵まれた体格から繰り出す最速153キロの直球は、球速以上の体感速度で、わかっていても当たらない。直球、カーブのみの組み立てでまだまだ粗削りだが、「スケールの大きさでは高橋より上」という声が多い。

 高校生で完成度が最も高いのは右腕・中森俊介(兵庫・明石商高)。直球、スライダー、チェンジアップを内外角に投げ分けられる制球力を兼ね備えて安定感がある。ドラフト1位で消えることは間違いないだろう。

 左腕は最速152キロの松本隆之介(横浜高)、ソフトバンク・和田毅を彷彿(ほうふつ)とさせる高田琢登(静岡商高)が双璧だ。

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