厚切りジェイソンさん(C)朝日新聞社
厚切りジェイソンさん(C)朝日新聞社

 「デジタル庁」の創設など、菅義偉政権が「目玉政策」として進めようとしているのが日本のデジタル化。コロナ禍の中で行政手続きの遅れが指摘されるなど、現状では世界のトップクラスから立ち遅れてしまっている印象があるが、海外出身者の目にはどう映るのか。クラウドシステムの導入・開発を行うベンチャー企業テラスカイ(東京都中央区)で部長を務めるお笑い芸人の厚切りジェイソンさんに、日本のデジタル化について聞いた。

【写真】風俗もデジタルに?「クラウド売春」の実態

――デジタル庁の取り組みでやっと日本のデジタル化も加速しそうです。ジェイソンさんは日本のデジタル化についてどう見ていましたか。

 日本の役所や企業の多くは、技術が進んでも古くからのやり方で仕事を進めている。まさに「Why Japanese people!?」とツッコミたくなる状況です。

――日本でデジタル化が遅れてきた原因は何でしょうか。

 組織で権力を持つのが遅すぎることにあると思います。決定権を持つ役職に就くのが55歳くらいで、定年まで5年~10年しかない。これでは大きな変化に踏み出せず、失敗を避けて現状維持するしかない。若いうちからどんどん挑戦と失敗を繰り返して成長するプロセスを経ていない人が役職に就いても、いきなりできるはずがありません。

――企業はどう変わると見ていますか。

 顧客情報などをクラウド上で管理するようになれば、成果はより“見える化”される。会社としての目標の達成度も、よりわかるようになると思います。

――仕事はどう変わるでしょうか。

 テレワークで仕事をしても、どのくらいの仕事をして、どういった成果が出ているか、数字で管理ができるようになる。成果を出す社員を評価できる。

 こうした中では、逆に成果が出ない社員はクビにしやすいようにしたほうがいいと思っています。日本では労働者の立場が強すぎるところがある。企業も業績が上げられないし、労働者も成長しないようにな、「LOSE―LOSE」の環境がある。

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ
悪い会社が淘汰されるサイクルが日本にも必要