腰痛を招く「狭窄症」と「ヘルニア」 2大疾患の基本と治療法 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

腰痛を招く「狭窄症」と「ヘルニア」 2大疾患の基本と治療法

このエントリーをはてなブックマークに追加
小久保よしの週刊朝日#ヘルス
典型的な症状の例 (イラスト/今崎和広 週刊朝日2020年10月16日号より)

典型的な症状の例 (イラスト/今崎和広 週刊朝日2020年10月16日号より)

脊柱管の中の神経が圧迫されている腰部脊柱管狭窄症。椎間板がはみ出している腰椎椎間板ヘルニア  (イラスト/今崎和広 週刊朝日2020年10月16日号より)

脊柱管の中の神経が圧迫されている腰部脊柱管狭窄症。椎間板がはみ出している腰椎椎間板ヘルニア  (イラスト/今崎和広 週刊朝日2020年10月16日号より)

北里大学病院副院長、整形外科科長、主任教授 高相晶士医師(左)/大阪南医療センター副院長、医療安全管理室長、骨・運動器疾患センター部長 小田剛紀医師

北里大学病院副院長、整形外科科長、主任教授 高相晶士医師(左)/大阪南医療センター副院長、医療安全管理室長、骨・運動器疾患センター部長 小田剛紀医師

 日常生活に支障をきたしたり、生活の質を下げたりする、腰痛。それを引き起こす代表的な病気が、腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアだ。どのような病気なのか、またその治療法について、2人の医師に話を聞いた。

【図解】「狭窄症」と「ヘルニア」の状態の違いとは?
*  *  *
■腰部脊柱管狭窄症
歩くとしびれや痛みが出る加齢で誰でもなり得る病気

 60代以降の人に起こりやすい腰の病気が「腰部脊柱管狭窄症」だ。病院にかかっていない人も含めると、全国で約370万人が罹患しているという推計が出ている。北里大学病院副院長であり、整形外科科長兼主任教授の高相晶士医師は「老化現象の一つで、誰でもなり得る病気です。加齢によって腰を構成する組織が変化することで起こります」と話す。

 主な症状は、腰痛、お尻や足の痛み、下半身のしびれだ。大阪南医療センターの副院長であり、医療安全管理室長兼骨・運動器疾患センター部長の小田剛紀医師は、次のように話す。

「前屈みにして歩くと脊柱管が広くなって症状が楽になる一方で、背筋を伸ばした良い姿勢を続けていると痛くなります。したがって『自転車や押し車などを使うと前屈みになるので移動しやすい』という人は多いです」

 進行すると、陰部にかけての知覚障害やほてり感、下半身の筋力低下、尿が出づらい、尿もれといった排尿障害が出ることもある。

 また、安静時には症状がないのに歩くとしびれや痛みなどで歩けなくなり、少し休息するとそれがおさまる間欠性跛行(かんけつせいはこう)も、この病気ならではの大きな特徴だ。50メートルほどしか歩けない人もいれば、15分くらい歩ける人もいて、個人差がある。

 60代以上の人でこの症状が出ている場合は、腰部脊柱管狭窄症であることが多い。しかし、足の血管が詰まる病気である閉塞性動脈硬化症でも同じような症状を示すため、自己判断は禁物だ。ちなみに、腰痛にも脊椎・脊髄腫瘍、腎臓がん、膵臓がん、化膿性脊椎炎などが隠れていることもある。

 背骨のなかで腰の骨(腰椎)は五つあり、上から順に第1から第5腰椎と呼ばれている。それぞれの骨と骨の間にあるのが椎間板で、衝撃を吸収したり、骨を接続してからだを曲げるのを支えたりする役割を果たしている。背骨の後ろ側で管のような形状になっているのが脊柱管だ。この太さは15ミリほどと言われているが、生まれつき細い人もいる。

 脊柱管の中には脳から下半身へと続く重要な神経が通っていて、腰の部分では馬のしっぽのような形をした馬尾と、そこから左右の足へ細く枝分かれをした神経根と呼ばれるものがある。

 腰部脊柱管狭窄症はその名のとおり、腰の部分の脊柱管が狭くなって圧迫される病気である。大きな原因は、加齢だ。とくに腰椎の下部である、4番と5番の間、5番と仙骨の間などで起こりやすい。

「加齢によって椎間板がすり減り、そこにかかる負荷が大きくなると、防御反応として靱帯が分厚くなったり、新たな骨(骨棘)ができたりします。そうして脊柱管が狭くなって、中の神経が圧迫され、症状が起きるのです。腰椎椎間板ヘルニアを患うなどして腰が弱い人は、罹患する可能性はやや高いと言えます」(高相医師)

「加齢に伴い、椎間板の弾力性がなくなって膨らんだり、骨と骨をつないでいる靱帯が分厚くなったり、椎体が変形して骨の棘(骨棘)が形成されたりする複合要因で、結果として脊柱管が狭くなります」(小田医師)

 もう一つの原因として、腰の骨がずれることによって脊柱管が狭くなり神経が圧迫される「腰椎すべり症」がある。すべり症には、閉経後の中高年女性に多い「変性すべり症」と、子どものときに腰の骨の一部分が骨折することにより発生する「分離すべり症」の2種類があるが、腰部脊柱管狭窄症の原因となるのは主に変性すべり症である。

「腰椎すべり症は骨にずれが生じ、脊柱管が折れ曲がったようになります。腰部脊柱管狭窄症は男女ともに起きますが、変性すべり症は60~70代の女性に多い傾向にあります」(同)


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい