オンライン法事にかかる時間は30分程度。Zoomを通じて読経や法話の様子を届ける
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 コロナ禍は「あの世」との向き合い方も変えた。外出自粛で法事のオンライン化が普及。一堂に会するよりも参加しやすいなどの利点もあり、コロナ後の供養のかたちとして定着するかもしれない。

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「それではご一同様、合掌いたしましょう」

 9月半ばの築地本願寺(東京都中央区)。お堂の一角では、オンライン会議システム「Zoom」を使って僧侶がお経をあげる様子を離れた家族に中継する「オンライン法事」が行われていた。

 法事は、中部地方に住む檀家の「一周忌」。僧侶で法要行事部部長の秦明人さんが、供養のための読経を画面越しに届けると、自宅に集まった故人の息子夫婦や孫ら家族は熱心に手を合わせた。喪服ではなく、比較的カジュアルな衣服で参加していた姿が印象的だ。本来なら、築地に出向いて供養したかったが、外出自粛もあって迷っていたところ、自宅でもできると聞いて利用することにしたという。Zoomなら、別の地方に住む親類も参加できる。

 読経の後は、秦さんによる法話。浄土真宗の教えをヒット曲「千の風になって」になぞらえて解説し、故人や先祖をしのぶ心の大切さを説いた。

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