※写真はイメージです (GettyImages)
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旧姓を併記したマイナンバーカードの例。旧姓はカッコ書きになっている=総務省提供 (c)朝日新聞社
旧姓を併記したマイナンバーカードの例。旧姓はカッコ書きになっている=総務省提供 (c)朝日新聞社

 マイナンバーカードの保有者に最大5千円分のポイントを還元する政府の「マイナポイント」事業が、9月に始まった。4千万人の利用を見込むが、事前申請できる7月から、事業開始直前(8月30日)までに申し込んだのは376万人と、目標の1割に満たない。

【写真】旧姓を併記したマイナンバーカードの例

 マイナポイントは、キャッシュレス決済サービスから一つを選んでチャージや買い物をすると、利用額の25%分のポイント(上限5千円分)がつく。事前にマイナンバーカードを使って予約するなどし、来年3月末までの買い物が対象だ。

「2016年に高市早苗総務相が『マイキープラットフォーム』構想を打ち出したのが発端。日本人はたくさんポイントカードを保有しているため、ポイント機能をマイナンバーカードに集約しようという発想でした」。こう解説するのは、ポイントの案内サイト「ポイ探」を運営する菊地崇仁さんだ。

 マイナポイント事業に参画した各社は、自社の決済サービスを選んでもらおうと、独自のポイントを上乗せするキャンペーンも展開。だが、一連の手続きに手間がかかるなどと不評だ。

「対象となるクレジットカードの種類が少なく、『JCB』『アメリカン・エキスプレス』などは対象外です。しかも、パソコンやスマートフォンの対応機種にも制限があるうえ、マイナンバーカードの暗証番号を3回間違えるとロックされ、役所へ行かないと解除できません。手続きが面倒なわりに還元がそれほどないのが難点です」(菊地さん)

 総務省の担当者はこうした状況について「いろいろな広報活動をしています。少なくともマイナポイントの予約が始まった7月から、マイナンバーカードの有効申請受付件数も伸びています。効果というのはあるのかなと思います」と話す。カードの有効申請受付件数は4月が約71万件だったものの、7月は約157万件、8月は約162万件と増えつつある。

 マイナンバーカードを使ったポイント事業には、すでに「自治体ポイント」もあるが、自治体が指定した店でしか使えない。「地方の商店街などで使ってもらう構想でしたが、ほぼ誰にも知られずにフェードアウト。中身を刷新するよりは、新しくしようということで、出てきたのがマイナポイントです」(菊地さん)

 マイナンバーカードの保有者を増やそうと躍起になっている総務相“肝いり”事業だが、今度こそは成功となるか。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年9月18日号