小2で父親を亡くした漫才師サンキュータツオ 志半ばで世を去った人を描く理由 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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小2で父親を亡くした漫才師サンキュータツオ 志半ばで世を去った人を描く理由

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仲宇佐ゆり週刊朝日#読書
サンキュータツオ・学者芸人

サンキュータツオ・学者芸人

 死に鈍感になると生に鈍感になり人の痛みにも鈍感になる――。漫才師で日本語学者のサンキュータツオさんは、随筆『これやこの サンキュータツオ随筆集』(KADOKAWA)のテーマに「別れ」を選んだ。縁あって出会ったものの、もうこの世にはいない人たちとのかかわりが描かれている。この著書に込められた思いを、本人にインタビューした。

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「志半ばで亡くなった人について僕が知る限りのことを形にして残したかったんです。みんなが知ってる人なら書く必要はないけど、知らないかもしれない人のことを書いておきたかった」

 最初に登場するのは、ともに60代で亡くなった柳家喜多八と立川左談次だ。落語家の60代はこれから円熟味を増していく時期。二人は病を抱えながらタツオさんが番組編成を担当する月例落語会「渋谷らくご」に死の直前まで出演していた。

「二人にしてみれば亡くなる瞬間までお客さんに見ていてもらいたかったはず。具合が悪くても来月の高座まで頑張るというように、生きる希望になっていた。照れ屋だった左談次師匠が、みなさんの笑い声が何よりの抗がん剤だと高座でおっしゃっていました」

 その意をくんだタツオさんは病状が悪化して歩行や着替えが困難になっても出演依頼をし続けた。楽屋が少しでも楽しくなるように、それぞれが会いたいであろう共演者を選んだ。喜多八、左談次が楽屋で顔を合わせる場面が印象的だ。最終コーナーの伴走者となったタツオさんは、生をまっとうした二人の姿を鮮やかに甦らせている。

「本人たちは照れちゃってるかもしれないですね。芸能はその場、その時間を共有した人だけで盛り上がって後には何も残らない。そういう美学で生きている人たちなので保存するのは野暮かもしれないけど、語らずにはいられなかった」

 タツオさんは小学2年のときに父親を亡くした。仕事で忙しい母に代わって面倒を見てくれた祖父母、中学・高校の先生、アルバイト先の古書店の店長など、この本に収められた別れは著者の半生も映し出す。


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