衆院議員の秋元司容疑者(C)朝日新聞社
衆院議員の秋元司容疑者(C)朝日新聞社

 IR汚職事件で8月、証人買収容疑で3度目の逮捕となった衆院議員の秋元司容疑者(48)。そして秋元容疑者とともに、証人買収を主導したとみられる、松浦大輔容疑者(51)が逮捕された。

 松浦容疑者は今年6月に、贈賄側の元沖縄県浦添市議、仲里勝憲被告に共犯者、宮武和寛被告を介して接触。現金を渡そうとしたという。8月26日、仲里被告は自身の裁判でこの時の様子を「弁護士料も払う。将来も保証するので、ウソの証言を求められた」と証言した。そして宮武被告から差し出された現金について

「500万円はあったと思う」と生々しく偽証工作の現場を語った。

東京地検特捜部は証人買収について、安倍首相の妻、昭恵氏とも親しく、ゲストハウスにも出資している「48ホールディングス」の淡路明人被告や松浦容疑者ら4人を逮捕予定だった。

「逮捕しようと、松浦容疑者の関係先に行くともぬけの殻。情報が洩れていたのか、どうなっているのかと正直、現場は焦っていた」(捜査関係者)

 それには理由がある。松浦容疑者の父は、朝堂院大覚と名乗る、松浦良右氏だ。冷蔵機器メーカー「ナミレイ」の経営者として、ライバル社の株を大量に取得。東京地検特捜部に逮捕され、有罪判決を受けたことがある。

 その後、マイケル・ジャクソンのコンサートを日本で実現させたり、元東京都知事の石原慎太郎氏や小池百合子都知事の父親のスポンサーだったりと、「政界のフィクサー」と呼ばれる存在だった。

「組織犯罪処罰法の証人買収というは、国際的な組織犯罪の防止に関する条約(TOC条約)に基づいて新設された。テロ対策なのです。適用は今回が初。こんな形で国会議員に適用されるとは想定外。それに、現職の国会議員が対立しかねない相手にカネを渡すなんて、小説か、刑事ドラマの世界ですよ。そこへ朝堂院氏の息子が証人買収の中心人物として登場する。事件はもっと大きな方向にとも、思いました」(捜査関係者)

 コロナ禍の中、松浦容疑者は海外逃亡は難しいだろうとみられていた。

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フィクサーの息子の役割は?