神戸山口組の井上邦雄組長(C)朝日新聞社
神戸山口組の井上邦雄組長(C)朝日新聞社
六代目山口組若頭の高山清司氏(c)朝日新聞社
六代目山口組若頭の高山清司氏(c)朝日新聞社

 長きに渡る抗争の結末が見えてきた。8月15日、山口県岩国市で特定抗争指定暴力団・神戸山口組の直参「木村會」(愛媛県)の幹部、前原順一組員が拳銃のようなもので撃たれ、腕や足に重傷を負った。

【写真】六代目山口組若頭の高山清司氏

 犯人は現場から逃走していたが、8月17日、岩国署に弾の入っていない拳銃を持って男が自首。男は六代目山口組傘下の組員、上田高裕容疑者(33)で山口県警岩国署に銃刀法違反容疑で逮捕された。

「上田容疑者は、突然、岩国署にやってきて『前原組員を撃ったことで、きました』と言っていた。持参していたカバンを調べると、回転式けん銃が入っていた。実弾は確認できなかった」(捜査関係者)

 六代目山口組を割って神戸山口組が結成されたのは、2015年8月末のこと。それから間もなく5年となる。元山口組顧問弁護士、山之内幸夫氏がこう話す。

「歴史は繰り返すというのか、出て行った神戸山口組が極めて劣勢。六代目山口組が力でねじ伏せたという感が強いですね」

 六代目山口組の力を象徴するのが、対立していた神戸山口組の最高幹部である木村會への動きだ。木村會について六代目山口組は「六代目山口組ナンバー2、高山清司若頭の預かりにする」などの通達を出したという。つまり木村會は幹部が撃たれ、その直後に「降参」とばかりに六代目山口組、高山若頭の傘下に入ったというのだ。

 神戸山口組は、即座に木村會の山本彰彦組長を「破門」とする処分を言い渡した。六代目山口組本部預かりという人事、処分は時よりみられる。
だが、「山口組ぶっちゃけ話」(清談社)など著書がある山口組系元暴力団組長の竹垣悟氏はこう話す。

「私は昭和47年からヤクザをやってます。堅気になってからもかかわりがある中で、若頭預かりという人事は極めて珍しい。高山若頭が『手を出すな』と強いメッセージを発していると感じた。それと同時に、撃たれてすぐに軍門に下るというのは、今回の抗争で終結が近くなったとの印象です」

 2019年10月、高山若頭が府中刑務所から出所。同11月には神戸山口組幹部、古川恵一組長が自動小銃で射殺され、その後、山健組の定例会でも組員が撃たれて殺害されるなど力で神戸山口組を圧倒してきた六代目山口組。

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山一抗争とそっくりな展開に