とはいえこれは、互いにビデオ通話の操作ができてこその話。オンライン帰省の一番のネックは、高齢者のITスキルなのだ。前述の大石さんが語る。
「兄と一緒でないと、母はビデオ通話をしようとしません。一度何か変なとこを触ったみたいで、それから恐怖症になったんです。ただ、LINEで写真を送ってくるようになりましたし、私が送った動画を見て楽しんでくれています。少しずつできることが増えているので、またビデオ通話にも挑戦してほしいんですが」
大石家のように周囲に助けてくれる人がいなかったらどうするのか。そんな初心者に向けた秘策を、三上さんが披露してくれた。
「都会に住む子どもが、親のために契約してタブレットを購入するんです。スマホでなくタブレットにするのは、老眼対策。文字を大きく、アイコンは初心者にも使いやすいLINEだけを目立つように設定して、それを実家に送りつけちゃうんです。卓上スタンドも一緒に送るといいでしょう。あとは電話で説明してあげましょう」
最初のハードルさえ越えられれば、家族の絆が深まることは間違いない。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2020年7月31日号