トレードは「どっちが得をしたか」と損得勘定ばかり議論されることがあるが、球界の活性化という意味で、お互いが「WIN‐WIN」の関係を模索できるトレードならば、どんどんやったほうがいい。巨人は毎年優勝するため、楽天はチームに「勝つ文化を構築する」ために、どんどん入れ替えを行う。もはや一昔前のような「他球団で活躍されたら困る」という飼い殺し的発想では、入れ替わりと進化が進むプロ野球で生き抜いていけない。

 それにしても、楽天はFAでどんどん主力選手を獲得する一方、それにより活躍の場が限定された選手との交換で若い選手を獲得している。それがはまった時は、西武ソフトバンクの2強状態が続くパ・リーグで主役を張れるようになるだろう。今年も三木新監督を中心に、ここまでは素晴らしい戦いをしている。

 今年は新型コロナウイルスの影響で、シーズン途中に外国人選手を獲得することは難しい。来日したとしても2週間の隔離などがあり、即1軍戦力とはならないからだ。例年以上に、2軍選手の実力をしっかりと見極め、首脳陣がうまく起用して総合力を発揮したチームが上位に来る。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2020年7月31日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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