「2014年の選挙では、遊説担当として選対に入りました。深夜にメールが入って『朝4時に自宅に説明に来い』などと無理難題を言う克行容疑者。怒鳴られることもあって、嫌になり、近づくのをやめました。17年の選挙は挨拶に行ったくらいで手伝いませんでした。ああいうパワハラな人とはとても一緒にやれません」

 そして案里容疑者の参院選でも選対に入って欲しいと頼まれたという。

「最初30万円で入ってくれと言ってきた。嫌なので『1億円ならやりますよ』と冗談を言って断った。すると次に50万円でどうかと再度、打診があったが、断りました。選対に入って50万円をもらっていたら、私も公職選挙法違反になっていたかもしれません」

 こう続ける。

「克行容疑者は公職選挙法なんて関係がない。自分が決めたことに他が従う、独自の河井ルールという世界にいましたね。戸別訪問、ポスターの掲示など違法なことでもバレなきゃいいという考えです」

 妻の典子氏の名前も買収リストにあり、検察から克行容疑者から現金をもらったのではと何度も問われたという。

「克行容疑者とは選挙区が同じで17年から毎年、妻の政党支部に寄付をもらっていたが、政治資金収支報告書に記載しています。河井容疑者夫妻が広島県政界にカネをばらまいた結果、大勢が巻き込まれ、検察に虐められて苦しんでいる。そして県民に多大な迷惑がかかっている。2人には大きな罪があるのです」

 自民党から河井夫妻容疑者に渡っていた1億5千万円。うち1億2千万円が、政党交付金、税金であったことがわかった。それが買収資金となった可能性がある。

「河井夫妻容疑者がばらまいたカネの原資は徹底的に調べている。すで自民党本部の職員らから話は聞いている。さらなる捜査も視野にある」(捜査関係者)

 前出の自民党幹部はこう言う。

「今の時代に選挙で議員本人が、カネをばらまくなんて信じられない。自民党本部の者まで事情を聞かれ、万が一にも捜索となれば、安倍政権は広島から崩壊しかねません」

(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事