※写真はイメージです (GettyImages)
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 新型コロナウイルスの感染は夏にいったん落ち着く──。そんな説がまことしやかにささやかれている。その根拠が、新型コロナは暑さや紫外線に弱いというものだが、残念ながらそれは幻に終わりそうだ。

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 中国・復旦大学の研究者らが4月9日、中国224都市の新型コロナの感染状況について調べた結果を医学雑誌のオンライン版に発表。気温が高くなったり、紫外線が強くなったりしても、感染拡大能力には変化が見られなかったと報告した。世界保健機関(WHO)も、「インフルエンザのように夏に消えるという希望的観測は間違い」と、声明を出している。

 確かに、実験室で行った研究では、新型コロナは高温や紫外線に弱いことが報告されている。だが、試験管と実際の状況は違う。渡航者の感染対策などを専門とする関西福祉大学の勝田吉彰教授は、こう分析する。

「新型コロナがどういう気象条件などで感染しやすいかについては、いろいろと研究されています。しかし、気温が28度以上になると予想感染者数が減るという報告もあれば、高温多湿の環境でも感染するという報告もあり、その結果はバラバラです」

 新型コロナの感染拡大はウイルスの感染力だけでなく、人の往来といった別の要素も大きく関与している。今後、自粛要請が解かれて人々が移動を始めれば、夏になっても感染拡大は続き、収束は難しいという。

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