淀川長治さん「つまんない映画」でも途中で帰らず…その深いワケ (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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淀川長治さん「つまんない映画」でも途中で帰らず…その深いワケ

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淀川長治さん(撮影/片山菜緒子)

淀川長治さん(撮影/片山菜緒子)

林真理子さん(撮影/片山菜緒子)

林真理子さん(撮影/片山菜緒子)

 作家・林真理子さんの連載「マリコのゲストコレクション」は今年、連載開始から25周年を迎えます。これまでご登場いただいたゲストの中から、今回は「元気が出る言葉」を厳選。1998年4月3日号から映画評論家・淀川長治さんです。 

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*  *  *
 映画黎明期から映画を見続けてきた日本を代表する映画評論家、淀川長治さん。32年間にわたって解説を務めた「日曜洋画劇場」のラストに、「サイナラ、サイナラ、サイナラ」のセリフで締めくくるのがお決まりでした。亡くなる7カ月前に登場いただいたときには、「これが人生最後の対談だからね、もっと聞いてね」と、マリコさんに質問をせがみ──。


林:先生、お元気そうですね。

淀川:あのね、僕は来月死にますからね。

林:エッ、そ、そんなこと……。

淀川:四月十日で八十九歳ですからね。(手に持った赤い手帳を開いて)これ、僕のスケジュール帳で、一日がすんだら、このとおり赤い線を引いていくの。今日生きた、また今日生きた……。死刑台の階段なの。

林:そんなー。(手帳をのぞき込んで)あ、スケジュールがいっぱい。これじゃ、当分亡くなれませんよ。

淀川:それで困ってるの(笑)。いつ死んでもいいけど、明日、新しい映画の試写があると、死ねないのね。

林:いまも毎日、試写にいらしてるそうですけど、ご覧になって時間を無駄にしちゃったと思うことってございますか?

淀川:つまんない映画見たら、腹が立って、ものをぶつけたくなるね(笑)。ついこのあいだも、試写室出ようとしたら、プロデューサーがドアのところで待っていて、「先生、どうでした?」って言うから、「最低!」って言ったの。

林:先生に「最低!」って言われたら、映画関係者の方、つらいですね。

淀川:それは仕方ない。最低だもの(笑)。でも、途中で帰ったことはないね。だって、いいところがあるかもわからないから、エンドマークまで見ないとね。

林:じゃ、今日の映画は良かった!というときは、ニコニコしながらお出になるわけですか。


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