■進次郎氏の課題 孫は「元気元気」

──新型コロナウイルス対策での一斉休校も菅義偉官房長官ら政治家より今井氏と相談して決断したとされていますが、一連の対策をどう見ていますか。

 一斉休校はともかく、コロナ対策で国民に数十万円配るとか言っているけど、バラマキはよくないね。消費税ゼロもそう。この先も消費税は重要な財源。今の状況はまさに、今の痛みに耐えて明日をよくしようという、明治期の「米百俵の精神」が大事だ。この精神が150年たって真逆になってしまっている。今、楽をしたいがために将来に痛みを先送りするという考えがバラマキ。少しは我慢を考えないといけない。

──緊急の経済政策であっても同じですか。

 うん。目先だけで、先を考えていない。もはや国債をどんどん増やせという時代になってしまった。これは自民党だけではなく野党もそう。ともにバラマキ体質。これだけ借金をしたら、歳出削減や増税では追いつかない。将来、インフレになる。

──安倍首相の悲願である憲法改正は来年9月までに動きは?

 原発問題というできることもやらずに、憲法改正なんてできないよ。憲法改正をするなら、野党を敵にしてはダメだ。野党第1党の立憲民主党と協力したほうがいい。海外で武力行使はしない、戦争は二度としない、という形で自衛力を持つことは必要だ。選挙で争点にはせず、時期を待てば実現可能だろう。そのためにはまず原発問題で野党と協力しなきゃ。総理としてこんないい時機をなぜ生かさないのかね。

──ポスト安倍はどなたが有力でしょう?

 私はもう政界から離れているから、口を出すのは控えたいね。

──河野太郎防衛相は脱原発派のはずですが、閣内に入られて、原発について発言しなくなりました。

 閣僚だから自制しているんだろう。彼は本質的には原発に反対だけど、閣僚だから総理の意見に従っていかないと。私が閣僚のときに郵政民営化を言ったら、全政党に大反発された。総理になったからできた。一大臣じゃできないよ。総理にならないと。

──ご子息の進次郎氏もポスト安倍の候補の一人です。環境相で入閣されていますが、原発ゼロ運動についてどう思っているんでしょう。

 たまに飯を食いながら、ざっくばらんにいろんな話をしますよ。原発ゼロについても理解している。でも、総理がね……。今は閣内にいるから言えないだろうけど。閣僚として、堂々と総理に反対するにはまだ力が足りないだろう。

──育休論議でも話題になりましたね。

 大臣になったら公務が最優先だ。機運を高めるために大臣が先導的役割を果たすのはいいけど、ことさら外に向かって、自分が育休を取るなんてことは言わないほうがいいと伝えたら、「わかってる」と言っていたけどね。

──週刊文春でいろいろと報じられています。滝川クリステルさんやお孫さんに影響は?

 元気元気。大丈夫だよ。進次郎については、たたかれるのは政治家の常ですよ。人気があればあるほどたたかれるが、たたかれなかったらろくな政治家にならない。どうでもいいと思われる政治家ではだめだろう。でもまだまだ力不足。もっと力をつけることだね。

(構成/本誌・秦正理)

週刊朝日  2020年4月10日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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