手指についたウイルスを物理的に洗い流す「手洗い」は感染予防の基本。「手を洗うときは石けんを泡立てて手首まできちんと30秒以上かけて洗うようにしましょう」(大谷さん) (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
手指についたウイルスを物理的に洗い流す「手洗い」は感染予防の基本。「手を洗うときは石けんを泡立てて手首まできちんと30秒以上かけて洗うようにしましょう」(大谷さん) (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
タオルで手を拭くことは一般的だが、タオル経由で感染が起こる恐れもある。手は使い捨てのペーパータオルで拭くのが理想的。もしくは、家族ごとに違うタオルを用意すること (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
タオルで手を拭くことは一般的だが、タオル経由で感染が起こる恐れもある。手は使い捨てのペーパータオルで拭くのが理想的。もしくは、家族ごとに違うタオルを用意すること (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
「手で顔をさわらないように! 目、鼻、口は無意識のうちにさわってしまうものですが、手についていたウイルスがそこから体内に侵入し、感染することもあるのです」(大谷さん) (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
「手で顔をさわらないように! 目、鼻、口は無意識のうちにさわってしまうものですが、手についていたウイルスがそこから体内に侵入し、感染することもあるのです」(大谷さん) (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
誤嚥性肺炎を防ぐ「舌トレ」 (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)
誤嚥性肺炎を防ぐ「舌トレ」 (イラスト/坂本康子 週刊朝日2020年3月6日号より)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、各方面にさまざまな影響が出始めている。今の時期はインフルエンザや風邪に対する注意も、もともと必要な季節。ウイルスを遠ざけるために現時点でできる対策をいま一度考えたい。ライフジャーナリスト の赤根千鶴子が取材した。

【イラスト】誤嚥性肺炎を防ぐ「舌トレ」のやり方はこちら

 新型コロナウイルスの感染拡大により、天皇誕生日一般参賀の中止や東京マラソンの規模縮小などが、先週相次いで発表された。事態が早く収束することが望まれるが、そもそも毎年2月から3月にかけてはインフルエンザが猛威を振るい、風邪も蔓延しやすい時期である。

 新型コロナウイルスのみならず、インフルエンザウイルス、風邪のウイルスを遠ざけるために、私たちは日々どんなことに気をつけていけばよいのだろうか。現時点でできる「暮らしの対策」について、『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』など多くの著書がある、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんにアドバイスを求めた。大谷さんは東京医科歯科大学呼吸器内科医局長時代も含めて、この30年以上、ほとんど病気をしたことがないという人でもある。

「新型コロナもインフルエンザも風邪も、相手がウイルスであることに変わりはありません。ですので予防対策としてやることは基本的には一緒です。新型コロナウイルスを近づけないようにするには、いままで言われてきたインフルエンザ対策を、より徹底して行うという意識を持つことです」

 ウイルスの感染ルートには「飛沫(ひまつ)感染」「空気感染」「接触感染」の三つがある。

 飛沫感染は、感染している人のくしゃみや咳(せき)によって空気中にウイルス等の病原体が“飛沫”として排出され、それを吸い込むことによって起こる感染だ。空気感染は、感染している人から排出された飛沫がそのまま乾燥して水分を失い、小さな“飛沫核”になって空中を漂い、それを吸い込むことによって起こる感染。また接触感染は、ウイルスが含まれた鼻汁や唾液等に直接触れることによって手にウイルスがついてしまい、その手で目や口や鼻をさわることで感染する。

 大谷さんはインフルエンザウイルス等を予防するにはまず、飛沫感染と接触感染を防ぐことが大切だと言う。

「そのためには、飛沫を防止し、のどの乾燥を防いでくれるマスクを正しくつけることです」

 理想的なのは、横から見て、鼻からあごまでしっかりと顔を覆い、正しく頬にフィットするマスクを選ぶこと。そしてマスクは、必ず「ゴム紐」の部分を持ってつけ外しをすることだ。

「使用中はもちろんですが、特にマスクを外すときは絶対にマスク表面をさわらないよう心がけましょう。マスク表面は飛んでくるウイルスの盾みたいなものなのですから、そこを手でさわれば当然、指にウイルスがついてしまいます。ゴム紐だけを持って外し、そのあとは手洗いをしましょう」

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