モトーラさんは1998年、イタリア系アメリカ人の父と、日本人の母の間に生まれた。母はアメリカで日本語教師をしたり、アフリカの難民キャンプを手伝ったりするアクティブな女性。若いころの写真を見ると、背格好などが自分にそっくりだという。

「母がアメリカにいたとき、アジア映画祭に日本映画を観に行ったそうです。そこで隣に座った父にナンパされたみたい」

 母は帰国してモトーラさんを出産。2歳のときに両親は離婚したが、そのことをずっと知らなかった。

「あるときふと『そういえばパパとママって離婚してるの』と聞いたら『そうだよ』って。父とはときどき会っていたし、聞いても特に何も感じませんでした。『あ、そうだったんだ』みたいな」

 今も父とは仲良しだ。父は68歳で母より17歳上だが若々しく、映画俳優のロバート・デ・ニーロに似ているのだ、と笑う。

「父はおもしろいんですよ。私は英語を話せなくて、父は英語しか話せない。だから何を言ってるのかよくわかんないんですけど、余裕で1時間くらいしゃべってくるんです」

 物心ついたときから、芸能界に憧れがあった。テレビのドラマを見るのが大好きでお芝居がしたい、と思っていた。モデルにも憧れ、雑誌のモデル募集などに応募もしていた。高校1年のときスカウトされて、事務所に入り、16歳でモデルとしてデビューした。

 すらりと伸びた四肢にちょこんとのった小さな顔。栗色のロングヘアと伏し目がちな瞳、キュートなそばかす。その個性的なルックスは「一度見たら忘れられない」と、ファッション関係者やカメラマンの間でまたたくまに人気となった。だが、ずっとコンプレックスを抱えてきたという。

「小学校のころはハーフだし背も高いし、人と違うことがずっといやでした。自分をいい、と思ったことがなかった。だから一生懸命、みんながしている髪形に合わせたりしていました」

 中学のとき、友人の一言で、見方が変わった。

「あのころ“森ガール”が流行(はや)っていたんです。中学で新しく会った友達から『森ガールっぽくていいね』と言われた。初めて友達から褒められたんです。それまでけなされることが多かったから。そのとき『自分にもいいところあるんだ。こういう感じをいいって言ってもらえるんだ』って。そうしたらだんだん自分がいやじゃなくなってきた」

 だが、モデルをはじめたころは戸惑いも多かった。

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