膠着(こうちゃく)した現状を打開するには「政権交代しかない」との考えだが、野党議員でいる間も手を尽くす。早ければ、1月中にも屋良氏と、立憲民主党の議員が訪米するという。米議会に直接メッセージを届けることができるように、パイプ作りをする予定だ。

「相手方は、やはり民主党が主軸になると思います。民主党の中に『プログレッシブ・コーカス』という最大の議連があります。バーニー・サンダース上院議員やオカシオ・コルテス下院議員らリベラル派が所属しています。きちんと相手と交渉できるだけの条件なり政策なりを持っていく必要があります」

 2020会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法が昨年12月20日、トランプ米大統領の署名で成立した。屋良氏は、この法律の中に注目すべき条項があると指摘する。

「1255という条項で沖縄の米軍基地に触れられています。海兵隊の削減計画の検証と、日本政府の意向と沖縄の政治情勢についての報告を求めています。そして、私が注目しているのは海兵隊の移転先として現状のハワイ、グアム、オーストラリアだけでなく、新たに米本国、アラスカ、日本本土も含めて解決策を検討するというものです。辺野古の海域には軟弱地盤があって滑走路ができたとしてもどんどん沈んでいくなど、工事に無理があることも伝えていきたいと思います」

 一方、焼失した首里城については、建物の再建よりも大事なのは、琉球文化のルネサンスだという。沖縄戦が終結した節目の1945年6月23日以降、沖縄は米軍統治下に置かれ、日本復帰から50年近くが経とうとするが、いまも基地問題に悩まされている。

「現状は、古来の琉球とは全く逆です。もともと琉球はアジアの国々と平和的な関係を保ち、貿易によって経済的な利益を受けてきました。平和で武器を持たない守礼の国だったのです。本来の沖縄の歴史を見つめ直してこそ、首里城に魂が入るのです」

(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日オンライン限定記事