岩波明氏 (撮影/本誌・秦正理)
岩波明氏 (撮影/本誌・秦正理)

 近年、耳にすることが多い「発達障害」。依存症ともかかわりが深いことがわかっている。発達障害が専門で、昭和大学附属烏山病院長の岩波明さんに聞いた。

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 発達障害と聞くと、アスペルガー症候群を代表的な疾患として思い浮かべる人が多いかもしれません。ですが、実は注意欠如多動性障害(ADHD)のほうが数は多く、成人の有病率は人口の5%くらい。20人に1人という多さです。

 ADHDは生まれつきのもの。「落ち着きのない、授業中に歩き回る子ども」といったイメージを抱かれる方が多いでしょうが、大人になってから自身が発達障害であると気づく人が多くなっています。多動性は成長するにつれて多少抑えられますが、ADHDのもう一つの特徴である衝動性は抑えられません。

 たとえば、会話の中で自分の考えが浮かんだら、相手の話を聞かずに話しだしてしまう。ADHDの診断基準にもある「かぶせて話す」という典型的な特徴です。ADHDではない人でもこうした言動はありますが、違いは頻繁にあるかどうか。ADHDの人は自身で注意していてもなかなか止められないんです。

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