おそらく志らく氏はなにもわかっちゃいない。だから真実をついた。彼は番組内で、政府が認めていないものを芸術だといえるか、人の誹謗(ひぼう)中傷をしていいのか、国の金でやらなくてもいい、などと発言した。天皇の写真を燃やす展示物については、「それも表現だといって、大勢の人の前でその写真を、子どもの写真を踏む、親の写真を破く、あるいは子どもの虐待の映像を見せる(のはどうか)」という例え話をした。

 彼は知らなかった。表現の自由や、法の下に平等(差別やヘイトがいけないということ)という憲法の言葉は、誰から誰を守るべく入れられているのか、ということさえ。

 ちなみに天皇はその時代の象徴でもある。そして今、我々と共にありつづけようとした平和を愛する上皇さまがいる。

 物事には流れがある。話をただ蒸し返すなというのは、反知性。

週刊朝日  2019年11月1日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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