世界3大投資家の一人が「日本のリスクは安倍さん、今は減税すべき」
連載「政官財の罪と罰」
ウォーレン・バフェット氏、ジョージ・ソロス氏と並び「世界3大投資家」と称されるジム・ロジャーズ氏が9月、来日した。元経済産業省官僚の古賀茂明氏が対談し、10月に迫る消費増税への危機感を露わにした。
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古賀:ロジャーズさんは本の中で、安倍政権の政策をいろいろと批判されていますが、その中で最も問題と思われることは何ですか?
ロジャーズ:最大の問題は安倍さん自身です(笑)。日本は大好きで、素晴らしい国だと思っていますが、残念なのは、毎年、毎日、人口が減っていること。このままでは、生活水準を切り下げるしかないのに、それが嫌なので、借金をして生活を維持している。借金はどんどん増えていく。計算すればわかりますよね。これは意見ではなく、事実。日本政府と日銀はビジネスでお金を稼ぐのではなく、紙幣を刷り続けて日本経済を維持しようとしている。おかげで株価は上がったが、それで国民が豊かになったわけではない。これはおかしいでしょう。日本人も本当はわかっているはずです。このままじゃ危ないと。だから、私は2018年秋に日本株を全て売ったのです。
古賀:10月から消費税が8%から10%に上げられます。財政規律、財政赤字を改善する目的はありますが、景気が下り坂なのに増税するのはどうなのかという議論があります。
ロジャーズ:増税で、経済にプラスのインパクトを与えたことは過去にありません。あなたがお金を使う場合と、安倍さんがあなたのお金を使う場合、どちらが上手にお金を使うと思いますか? 増税して安倍さんが新幹線や高速道路を造っても、あなたや国民生活にメリットは少ない。
古賀:そうすると、税収を増やし、国民生活も豊かになるという成長戦略を考える上で、何が一番大事でしょうか。
ロジャーズ:財政をジャブジャブ使わないで、もう少し上手にやりくりしたほうがいい。国民が自由に使えるようにするか、もしくは貯蓄したほうがいいと思いますが、安倍さんは貯金するような人ではなく、バラマキをするタイプでしょう。
古賀:むしろ、減税してそのお金を国民が使ったほうがいいと。
ロジャーズ:そうです。大きな政府より小さな政府のほうが効率がいい。今の時代、借金を増やすこと自体がナンセンスなので、減税して国民が使ったほうがいい。
