夏休み、憲法について考えてみよう 斎藤美奈子が選ぶおすすめの3冊 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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夏休み、憲法について考えてみよう 斎藤美奈子が選ぶおすすめの3冊

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週刊朝日#読書
※写真はイメージです

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 数々の国際紛争を調停してきた経験から<日本は米軍基地などなくても安全を確保できる>とガルトゥング博士はいう。米軍に撤退してもらい、専守防衛(国境防衛と領土内防衛)の武力を見直し、領土問題は当事国の共同管理で乗り越えれば、日米安保はおのずと形骸化すると。注目すべきはこれが理想論ではなく現実的な提案である点だろう。対米従属こそが日本の平和を疎外するという説は、日米安保にがんじがらめになった思考停止の状態から私たちを解放する。9条は積極活用できるのだ。

 日本国憲法は実際、多くの人の人権を守り精神を解放してきた。『青い山脈』は東北の女学校を舞台に新米女性教師の奮闘を描いた学園物だが、一種の民主化闘争小説ともいえる。

 ニセのラブレターと男女交際の是非をめぐって生徒からも教師からも孤立した主人公の島崎雪子。ついに保護者会で投票が行われるが、雪子に味方したのは保守的なはずの親たちだった。年長の教師を堂々と批判した雪子の姿が、特に母親たちの心を打ったのだ。この小説が朝日新聞に連載されたのは1947年、新憲法の施行直後だった。本はベストセラーになった。憲法がまぶしかった時代の小説はいま読んでも痛快である。

さいとう・みなこ=1956年生まれ。著書に『日本の同時代小説』『文庫解説ワンダーランド』『学校が教えないほんとうの政治の話』『吾輩はライ麦畑の青い鳥』『本の本』『文章読本さん江』など。

週刊朝日  2019年8月16-23日号


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