「覚醒剤の密輸量が年々増えている一方で、摘発率は数%にとどまっている。覚醒剤はインターネットで簡単に入手でき、想像以上に国内で蔓延していると考えてよい。こうした中で、当局はとにかく社会に与える影響が大きい被疑者を摘発する。つまり一罰百戒だ。今回の官僚も密売ルートの捜査の過程で浮上し、標的となったのだろう」

 溝口さんによれば、密輸された覚醒剤は、暴力団が窓口となって取り仕切り、流通させているという。

「かつては芸能人、スポーツ選手が捜査対象の相場だったが、蔓延度が高まる昨今、キャリア官僚も対象として加えたということだろう」

 また、経産省キャリアを摘発した警視庁組織犯罪対策5課と、麻薬取締部がライバル関係にあることも、相次ぐ官僚逮捕に影響したようだ。

「マトリ(麻薬取締部)と5課は犬猿の仲。マトリは留置施設を警察から借りるためにへりくだっているが、心の底では強烈にライバル視している。一方の5課も、麻薬取締官を情報漏洩で検挙するなど常に足をすくおうとしている」(捜査関係者)

 麻薬取締部では入手経路の実態解明を進めている。(本誌・羽富宏文)

週刊朝日  2019年6月14日号