会費制というのは、私も賛成です。今の時代、1万円と言わず、5千円ぐらいの会費制で気楽にやるのがいいんじゃないかと思う。私の若いころの結婚式は、互いの親の仕事の関係者まで呼ぶことが多く、新郎新婦に会ったことがない人が大勢来るようなケースも珍しくなかった。

 しかし今の時代、あんな大掛かりな結婚式はいらないと思うし、少なくとも本人が知らない人は呼ぶべきじゃない。結婚って、本来は二人の問題であるはずなのに、結婚式ではいまだに「○○家」と「○○家」の儀式で、戦前の家制度みたいな感覚がまだ残っているように感じます。仲人を立てるのが少なくなったように、古い習慣は廃れていっても良いはずだと思う。私たちの時代の結婚式のスタンダードと、今の結婚式のスタンダードが変わってきているように、いらない習慣はだんだん廃れていくんだと思いますけどね。

 しかしそれだけ払ってきたなら、黙っちゃいられないのも分かります。自分が結婚する時には、これまで招かれた人たちを全員呼んで、払った分の元をとったらいい。5万円の会費で立食とかね(笑)。とにかく、あまり律義に行きすぎないようにすることをおすすめします。

週刊朝日  2019年5月31日号

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前川喜平

前川喜平

1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う。

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