(c)2019『長いお別れ』製作委員会(c)中島京子/文藝春秋
(c)2019『長いお別れ』製作委員会(c)中島京子/文藝春秋

「長いお別れ」が5月31日から全国公開される。原作は『小さいおうち』で直木賞を受賞した中島京子の同名小説。監督は「湯を沸かすほどの熱い愛」が日本アカデミー賞で優秀作品賞など主要6部門を受賞するなど数々の映画賞で計34部門の受賞を果たした中野量太。

 東京の郊外に住む東家の母・曜子(松原智恵子)が離れて暮らす娘たちを、父・昇平(山崎努)の70歳の誕生日パーティーに呼ぶが、そこで明かされたのは、厳格だった父が認知症になったという事実。

 夫の転勤で息子とともにアメリカに住み、慣れない生活に戸惑っている長女の麻里(竹内結子)。次女の芙美(蒼井優)は、スーパーで働いているが、カフェ経営の夢も恋人との関係もうまくいっていない。それぞれ人生の岐路に立たされている姉妹だったが、父との思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない父の愛情に気づき、前に進んでいこうとする。

 ゆっくりと記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ未来とは?

 本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
穏やかな喜怒哀楽の中で時が過ぎ、最後には家族っていいな、と思えるささやかな幸福感が残る。認知症の老父を抱えた家族の7年間は、繊細な観察眼から生み出された「ある家族の人生の一部分」が気持ちの良い映画になった。

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