早めの補聴器が認知症予防につながる? 聞こえと脳の関係を専門医が解説 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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早めの補聴器が認知症予防につながる? 聞こえと脳の関係を専門医が解説

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出村真理子週刊朝日#ヘルス
加齢により蝸牛内の有毛細胞や聴神経の細胞数が減ること、働きが低下することで聞こえが悪くなる(イラスト/今崎和広)

加齢により蝸牛内の有毛細胞や聴神経の細胞数が減ること、働きが低下することで聞こえが悪くなる(イラスト/今崎和広)

 高齢化が進む中、難聴者の数は増加している。一方で「難聴は認知症のリスク要因」という報告が発表され、関心を集めている。聞こえと脳の関係を理解することが、認知症予防の最初の一歩になるかもしれない。

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 2017年の国際アルツハイマー病会議で、ランセット国際委員会が認知症のリスクに関する発表をおこなった。その内容は、「認知症のうち約65%は個人の努力では予防できないが、約35%は予防・修正が可能な要因により起こる」というものだ。35%の予防できるリスク因子は、糖尿病、社会的孤立、運動不足、うつ、喫煙、肥満、高血圧、難聴、15歳以下の低教育、の九つで、そのうち難聴が最も多くの割合を占める。つまり、認知症の予防できるリスクのうち、最大のリスクが難聴であるということだ。

 ランセットの報告によれば、中年期以降の難聴は、認知症の原因の9%を占める。しかし、これは難聴を予防すれば認知症のリスクを9%減らせるということにもつながる。

 加齢とともに、からだのさまざまな働きが衰えていくのは自然なことだ。目の機能が衰えて老眼になるように、足の筋肉が衰えて動きにくくなるように、耳の機能も低下し、聞こえが悪くなる。それが「加齢性難聴」だ。起こる年齢や症状の程度には個人差があるが、年をとれば誰にでも起こることといえる。

■加齢で有毛細胞や聴神経細胞が減る

 耳の中の内耳には「蝸牛」という音を感じる器官があり、蝸牛の中には音を感じ取るセンサーの役割を果たす「有毛細胞」がある。加齢により、有毛細胞が減ったり、壊れたりすることで、音を感じ取る力が低下して聞こえが悪くなる。また、蝸牛から脳に音の信号を伝える聴神経の細胞数も加齢により減少し、働きも低下するため、音の情報が正確に伝わりにくくなる。さらに、脳の働きも衰えることで、届いた信号を音や言葉として理解する能力も低下する。このように、いくつもの機能の低下が重なり、難聴の症状が起こると考えられる。


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