「これまで一般的だったものが、時代にそぐわなくなってきています。特に高齢になっている団塊の世代は、新しいモノへの抵抗感が少ない。合葬墓や納骨堂といった、新しいタイプも比較的受け入れやすいのではないでしょうか」

 どのタイプに引っ越すとしても、墓じまいの手続きは基本的に同じだ。

 まず、引っ越し先(改葬先)を決め、その管理者から「受入証明書」をもらう。引っ越し先が決まらず、遺骨をいったん手元で保管する場合は、自治体の役場に事情を説明して、認めてもらえるようにする。

 それから、今のお墓がある自治体の「改葬許可申請書」を手に入れる。申請書には、死亡者の氏名や本籍、火葬・埋葬場所などを記入。複数の遺骨がある場合は、全員分を調べる。やむを得ずわからない部分は、「不詳」とする。

 記入した申請書は今の墓地の管理者に出して、署名・押印してもらう。埋葬の事実を証明してもらうためだ。自治体によっては改葬許可申請書とは別に、墓地の管理者の「埋葬証明書」を求められることもある。

 改葬許可申請書と受入証明書を、今のお墓のある役場に提出すると、「改葬許可証」が交付される。こうして初めて、遺骨を取り出すことができる。

 こうした手続きをとらずに勝手に墓じまいすることは、墓地埋葬法で禁じられている。手続きは行政書士らが代行できるので、不安なら専門家に相談する。

 墓じまいで難しいのは、お寺など今の管理者の理解を得ること。お寺にとって、お墓やそれに連なる檀家は経済的な基盤。長年お墓を管理し、何世代にもわたって付き合ってきたのに、一方的に墓じまいを通告すればトラブルになりやすい。実際、高額な「離檀料」を求められる事例が多発している。

 国民生活センターは、70代女性から寄せられたこんな相談内容を公表している。

「遠方の寺の檀家となっており、亡くなった両親の遺骨や先祖の位牌(いはい)がある。高齢で墓参りに行けないので、遺骨等を家の近くの合同納骨堂に移したい。寺に問い合わせると『250万円支払うように』と言われた。支払うべきなのか」

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