かつて日本のロック・シーンで強烈な存在感を示した金子マリ&BUX BUNNYが〝復活〟した
かつて日本のロック・シーンで強烈な存在感を示した金子マリ&BUX BUNNYが〝復活〟した
長いキャリアの集大成でもあり、再出発の号砲でもある新作『Mari & Bux Bunny シーズン2』(徳間ジャパン TKCA―74776)
長いキャリアの集大成でもあり、再出発の号砲でもある新作『Mari & Bux Bunny シーズン2』(徳間ジャパン TKCA―74776)

 金子マリ&BUX BUNNY。そのオリジナル・メンバーの金子マリ(ヴォーカル)、鳴瀬喜博(ベース)、難波弘之(キーボード)が新たなメンバーを加えて復活。昨年11月に再始動し、このほどニュー・アルバム『Mari & Bux Bunny シーズン2』を発表した。

【金子マリ&BUX BUNNYニュー・アルバムのジャケットはこちら】

“下北沢のジャニス”と語られた金子は、1973年にCHARや鳴瀬らと伝説のグループ、スモーキー・メディスンを結成。同グループの解散後、74年に金子マリ&BUX BUNNYを結成した。ライヴ・バンドとしての評価を得て、76年にアルバム・デビュー。その後、ジョニー吉長らが参加し、ライヴ作を含めてアルバム4枚を残していた。

 金子は79年にジョニーと結婚(99年に離婚)。THE VOICE & RHYTHMへの参加を経て、83年に『MARI FIRST』でソロ・デビューした。39歳のときに父を亡くし、祖父以来の家業を引き継ぎ、歌手に専念できずに焦燥感を持っていた時期もあった。だが、その後もMAMA、5th Element willで活動し、渋谷毅との共演盤や還暦記念ライヴのDVDを発表してきた。

 鳴瀬はソロ『MYTHTIQUE』を発表後、様々なユニットに参加、CASIOPEA 3rdや野獣王国などでも活躍してきた。

 難波はプログレ・バンドのSENSE OF WONDERを結成し、シンセサイザー・プレイヤーとして活動。野獣王国への参加やNUOVO IMMIGRATOの結成、山下達郎のサポートなどをする一方、SF作家としても知られる存在となった。

 今回、Mari & Bux Bunny シーズン2として再始動した背景には、旧作のボックス・セットの発売に伴う復活ライヴや、鳴瀬が還暦を迎えた2009年から毎年続く「宴歴」ライヴがあった。今年古希を迎える鳴瀬が中心となって動いたようだ。

 金子、鳴瀬、難波以外のメンバーは3人。15歳でカルメン・マキ&OZに参加して以来、佐野元春、PUFFY、奥田民生らをサポートしてきた古田たかし(ドラムス)、難波の娘でシンガー・ソングライターの玲里(コーラス)、The Voice of JapanやLullなどで活動中の開発千恵(同)。

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小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

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