「インスタント・パーティー」は、玲里がMari & Bux Bunnyの復活ライヴでの熱気や興奮に刺激されて作詞、作曲し、自身のアルバムに収録していた曲。難波のソウル/ジャズ・テイストのオルガンをバックに、金子が姉御肌風の気風の良い歌を披露している。

「Still Stands~2019~」は鳴瀬のバンド、ザ・チョッパーズ・レボリューションのアルバムに収録されていた曲に金子が歌詞をつけた。ジョニー吉長、ラッキー川崎ら故人となった盟友たちへの思いを込めたロッカ・バラードだ。淡々と歌う金子の歌唱と、その心情を巧みに表現した土屋のむせび泣くギターが印象深い。

「KOKORO―CK~2019~」もカシオペアの曲で、グレゴリー・ブラウンのラップをフィーチャー。「Paint」は鳴瀬のベースの手腕が光るファンキーな曲。「Extraordinary」はヘヴィー・ファンク。ラストの「夕焼けの詩」はデビュー作からのセルフ・カヴァー。西岸良平の同名作に刺激されて書いた曲だ。

 下北沢のジャニスはキャリアを重ね、ヴォーカリストとしての深みを増した。本作では、歌に取り組む真摯な姿勢がひときわ印象深い。新編成のバンドのグルーヴ感あふれるアンサンブルも聴きどころだ。新たな意気込みに燃えるMari & Bux Bunny シーズン2にエールを送りたい。(音楽評論家・小倉エージ)

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小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

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