補聴器を購入するには、病院の補聴器外来を受診する方法と、補聴器販売店に行く方法がある。いずれにしても最初に耳鼻咽喉科にかかる。

 補聴器外来では、提携している補聴器販売業者が病院に来て、診察・検査から試聴・購入まで病院内でできることもある。

■聴力とニーズに合う補聴器を選ぶ

 病院に補聴器外来がない場合は、診療情報提供書を発行してもらい補聴器販売店に行く。診療情報提供書とは、補聴器相談医が補聴器販売店にあてた、補聴器購入のために必要な情報をまとめた書類だ。日本耳鼻咽喉科学会では、補聴器に関する専門知識と技能を持つ認定補聴器技能者がいる認定補聴器専門店に行くことをすすめる。

 補聴器の装用においては、「自分の聴力に合う補聴器を選ぶこと」と「聴力に合わせて適切に調整された補聴器を使うこと」が重要だと両医師は話す。

 補聴器は、形態や出力(音を大きくする力)などによりいくつかの種類があり、難聴の程度により使用できる補聴器は異なる。

「例えば、軽度難聴に適した補聴器を、高度・重度難聴の人が使用しても、十分に音を大きくできないために聞こえが改善されないことがあります。難聴の程度に合った補聴器を選ぶことが必要です」(佐野医師)

 とはいえ、補聴器のメーカーは複数あり価格にも幅があるため、選ぶ際に迷う人も多いだろう。メーカーによる違いについては、両医師とも「一般的なメーカーの補聴器であれば、技術力の差はない」という。

「近年、補聴器の技術は大きく進歩しています。認定補聴器専門店で販売されている補聴器であれば、性能や患者満足度に大きな差はないと考えていいでしょう」(水足医師)

 価格について、「音を大きくする基本機能に関しては、値段による大きな差はない」というが、例えば、音を調整する際により細かく設定できる機能や、雑音やハウリングを抑える機能、スマホと通信できる機能など、「より快適な聞こえのための付加的な機能」が価格の差になるという。

■聴力に合わせて調整された補聴器を

 どの補聴器が最適かは、実際に使ってみないとわからない。試聴し、医師や認定補聴器技能者と相談しながら聴力やニーズに合う補聴器を選ぶことが大切だ。

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