大学入試も後期日程の入試を残し、終盤に差しかかった。私大を見ると、今年も近畿大が志願者数1位を確定させ、6連覇を達成。難関私大では定員厳格化によって難化し、軒並み志願者が減少した。他方で、受け皿となった中堅私大は激増させる結果となった。
今年も志願者数は増加傾向だ。
大学通信によると、主要100大学の志願者数(2月21日時点確定分、以下同)は約265万人で4.3%増加。文部科学省の定員厳格化を受けて、各私大が合格者数を絞り、競争が激化し、安全志向の受験生が併願校を増やした。
河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフはこう語る。
「今年の志願動向の特徴は“ローリスク”。もしかしたら手が届くのではないかという大学でも躊躇(ちゅうちょ)して、合格できるレベルで出願を止める傾向があったと思います」
志願傾向を各大学の志願状況から見ていきたい。
難関私大を見ると、「2強」の早稲田大が前年比5%、慶應義塾大は3.3%も減った。
SMART+CH(上智大、明治大、青山学院大、立教大、東京理科大+中央大、法政大)では、上智大が10.5%、明治大が7.1%、青山学院大が4%、法政大が5.8%も減らしている。
関関同立でも、同志社大で8.3%、立命館大で2.8%、関西学院大で8.6%と志願者を減らした。
他方で志願者を伸ばした難関私大もある。
最も伸びたのは東京理科大で7.2%増えた。特にセンター利用入試で伸びている。同大の広報担当者はこう見る。
「首都圏の上位の進学校からの出願が増えた。特に2016年に都心に移転した経営学科が伸びた。首都圏の経営学科の中で倍率が低かったことも要因として挙げられそうです」
中央大は4.6%増加したが、国際情報学部と国際経営学部を新設したことが追い風になったようだ。
関関同立の中で唯一増加した関西大は2.6%増。同大は複数学部・学科の併願がしやすく、受験生1人当たりの併願数の比率を示す併願率(昨年判明分のみ掲載)は277%と高い。安全志向の受験生の受け皿になったとみられる。
中堅私大でも明暗が分かれている。日東駒専では、日大が1万5千人、14.1%も減少させた。日大はこの減少について「他大学と差が見られる。昨年ご迷惑をおかけした事象などに起因するところもあるかと思われる」という。
各学部の志願者数を見ると、危機管理学部やスポーツ科学部で3割近く減らした。アメフト問題で日大の危機管理のあり方などが問題視されたことが響いた形だ。芸術学部や国際関係学部などでも2割近く減っている。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長はこう見る。