林:スゴイ……。じゃあ奥さんの言うことは正しいじゃないですか。

福田:結果的には(笑)。彼女はそんな説教をしながらも、「あれ(「勇者ヨシヒコ」)をはずしたら“福田雄一は消えた”って言われるな」とか、ひどいことを言うんです。だから必死でした。あの産休がなかったら今はないなと自分でも思います。

林:お話を聞いてると、だんだんいい奥さんのように思えてきました。福田さん、お酒も一滴も飲まないんですよね。家族でおいしいものを食べに行くとかは?

福田:そんなにないんですよ。うちのヨメは出無精で、しかも料理しないから、店屋物をとるしかないんです。ココイチのカレーとか(笑)。

林:お子さんたちのお弁当とかは?

福田:僕が作ります。朝10時ぐらいに駅前のスーパーで総菜を買ってきて、ごはんを炊いて弁当箱に詰めて、昼前に学校に行って、廊下のフックにお弁当を引っかけて帰ってくるという生活を長くやってました。

林:まあ、こんなにお忙しいのに。

福田:でも、休み時間に学校に行くと、すごい勉強になるんですよ。というのは、子どもがいま何をおもしろがってるかが、休み時間に行くとわかるんです。子どもが映画やドラマの主題歌を歌ってる作品は、めちゃめちゃ当たるんです。

林:なるほどねぇ。だけど、そんなにポジティブに考えられるということ自体、素晴らしいことですよ(笑)。ふつうは「なんで俺が弁当作って学校にぶら下げに行かなきゃいけないんだ」ってなりますよ。

福田:どんだけしんどくても、おもしろがっちゃうところがありますね。それに僕、めんどくさい人が大好きなんですよ。ちょっと嫌われがちな人を「おもしろいな」と思っちゃうタイプで、一見完璧そうな人の欠点を探すのとかも大好きなんですよね。

林:お子さんたちも、パパのこと尊敬してるんでしょうね。

福田:長男はいま高校生で、ロサンゼルスの学校でミュージカルを専攻してます。僕と同じ世界にいるので、ある程度尊敬してくれてると思うんですけど。彼の最終目標はたぶん、ブロードウェーミュージカルのプロデューサーになることだと思うんです。「ブロードウェーのプロデューサーになって俺を呼べ」といつも言ってます(笑)。

林:それが実現したときは、奥さんも「やるじゃん」って褒めてくれるんじゃないですか。

福田:さあ、今まで一回も褒められたことないですからねえ……。

林:でも、ここまでくると、褒められたら悲しいかもね。二人とも90歳ぐらいまでお元気で、日だまりの中で奥さんが「頑張ったじゃない、あなた」という感じで、このラブストーリーが終わるんじゃないですか。

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