「一度に20台の捕獲器を設置したことがあります。家の周囲をぐるりと包囲するイメージですね。野良がかかってしまうこともありますが、捕獲の確度は格段に上がり、何より短期間で決着がつきますから」

 長期にわたると飼い主が近所迷惑を気に病んでしまう。一度に数多くしかければ、短期決戦に持ち込める。

「猫の身体能力は高く、人間が素手で捕まえようとしても無理です。下手に追い回すと、むしろ怖がらせてしまう」(梅田さん)

 一方、藤原さんは、目撃情報などでおよその居場所のあたりをつけてから、数台を設置する。いずれも成功率は高いという。

 自分ひとりでの捜索が難しいと感じたら、梅田さんは地域のボランティアを調べて相談することを勧めてくれた。

「捕獲器を貸してくれるかもしれませんし、餌やりさんの情報を持っているかもしれません。脱走が長期に及んだら、警察や動物愛護センターにも届け出を。マイクロチップが装着してあれば、殺処分は免れます」

 無事に帰ってきたら、落ち着ける環境を整えてあげよう。人間の言葉が話せない猫だからこそ、不安や不満は飼い主がおもんばかるしかない。

「感染症のチェックやノミの駆除などの健康チェックも忘れずにしてあげてくださいね」(梅田さん)

 最後に、猫の脱走を未然に防ぐための心構えを2人に聞いた。

「引っ越しの際は、何よりも先に猫の確保を。新居に移ってからもしばらくはケージの中で暮らしてもらって、そこが家だと理解するまで慣らしてあげましょう」(梅田さん)

「人が集まるときは猫を別の部屋に隔離するのが安心です」(藤原さん)

(ライター・浅野裕見子)

週刊朝日  2018年12月28日号