鎧塚俊彦の原点に通じる味 素材を生かした「イカスミの手打ちパスタ」
著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回はパティシエ・鎧塚俊彦さんの「オステリア ナカムラ」の「カニとポロネギのいかすみ入りタリオリーニ」だ。
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女房(川島なお美さん)亡きあと、めっきりつきあいの悪くなった僕を心配して、2年前に知人が連れてきてくれたのが、中村夫妻が営むこの店でした。ご夫妻の人柄同様、店の雰囲気も気さくで居心地がよく、以来、気の合う仲間と度々訪れています。ここの料理は、今どきの繊細なイタリアンとは違い、ガッツリ系で見た目も武骨。でも味は確かで力強く、南イタリアのアマルフィの料理を思い出します。素材をへんにこねくりまわしていないところもいいですね。
中でも毎回注文するのがイカスミの手打ちパスタ。イカスミをパスタに練り込んだタイプで、手打ちならではのやんちゃな十割蕎麦のような食感(笑)。これが味わい深くて好きなんです。
思えば僕の味の幹となっているのは、子どもの頃に食べた祖母のおやつです。干し芋やおはぎなどが毎日の楽しみでした。ですから今でも土着の香りがするもの、素材の味を生かした料理が好きです。オステリア ナカムラの味は、そんな僕の原点に通じているのだと思います。
(取材・文/佐藤裕美)
「オステリア ナカムラ」東京都港区六本木7‐6‐5六本木栄ビル2F/営業時間:18:00~22:30L.O./定休日:月・第2日
※週刊朝日 2018年12月21日号

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