相乗りの実現で、タクシーはより使いやすくなるか? (c)朝日新聞社
相乗りの実現で、タクシーはより使いやすくなるか? (c)朝日新聞社

 タクシーで同じ方向に行きたい人同士が相乗りする制度が近々導入されそうだ。実証実験の結果によると、通常の料金に比べて2~4割ぐらい安くなるという。利用者にとっては料金が安くなり、タクシー業界は需要の喚起につながると期待している。

 国土交通省がこのほど公表した相乗りタクシー実証実験の結果によると、相乗り希望者のうちマッチング率が約1割にとどまり、9割の人が利用できなかった。利用希望者を増やし、マッチング効率を向上させるなど、今後の課題も見えてきた。本格導入後は利用したいという人が約7割に達した。国交省は今年度中に詳細な分析を進める意向で、担当者は「いつごろ導入するかはまだ見えていないが、極力早くと思っている」と話している。

 タクシー相乗りが検討されている背景には、タクシー利用者が減っており、売り上げが落ちてきていることがある。また、乗務員も減少しており、人手不足という事情もある。全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)は2016年10月に公表した「今後新たに取り組む事項」の11項目の一つに相乗りを盛り込んでおり、推進の意向を示していた。全タク連の担当者は、相乗りについて「少しでも需要を増やしていこうという取り組み」と説明している。

 今回の実証実験は今年1~3月に東京23区と武蔵野市、三鷹市で実施。参加したのは大和自動車交通グループと日本交通グループの計949両。専用アプリを使用して同方向の利用希望者をマッチングさせる仕組みで、期間中の申し込み人数は5036人だったのに対し、利用した人は494人だった。

 実証実験で相乗りの料金は、全体の運賃を利用距離で案分比例したもの。利用者はどこからどことまで利用するのか、事前に専用アプリで申し込んでいるため、料金計算は単純だ。通常のタクシーでは道路が混雑して乗車時間が長くなると、時間制も加味されて料金が上がるが、今回の相乗り実証実験で料金計算の基準は乗車距離だけだ。

次のページ