林:平岩紙さん(俳優)も、今すごい人気ですよね。演技もお上手で。このごろいろんなドラマでお見かけします。

松尾:そうですね。主演もしてますし。でも、まあまあ認知されるまでには、みんな10年はかかってますね。

林:その「大人計画」が、今年で誕生して30年なんですね。

松尾:はい、そうなんです。

林:「大人計画」って、30代の終わりから40代の人たちがワイワイガヤガヤ楽しそうにやってるという印象なので、それが30年経ったってちょっと意外でした。

松尾:そうですか。阿部とかの顔を近くでよく見ると、「ああ、老けたな」と思いますよ(笑)。

林:30周年の記念に、「30祭」というイベントをなさるんですね(12月18~30日 スパイラル)。「劇団員の年齢と体力に応じた祭が始まる!」って書いてあって、イベントの中身としては、「大人計画大博覧会」とか……。これは今までの舞台のフィルムとかビデオが流れるんですか。

松尾:映像とか、舞台衣装とか小道具とか、あと、舞台写真とかはけっこう貴重なものが多いんで、それを展示したりします。僕もまだ全容がわかっていないという大掛かりなイベントになってます(笑)。

林:宮藤さんの「伝説の先輩を訪ねて」というドキュメンタリー映像も流れるんですね。

松尾:創設期から間もないときに入ってきて、やめていったメンバーを宮藤が面白半分に訪ねるという。

林:それってちょっと可哀想な気がします。俳優になるという夢を抱いて「大人計画」に入ってきて、途中でやめていったわけですよね。残ったメンバーがこんなに立派になったのはうれしいだろうけど、寂しいところもあるんじゃないですか。

松尾:そういうことを意に介さない先輩だから、宮藤が行くんだと思いますよ。

林:なるほど。やめていった皆さん、いま何をやってるんですか。

松尾:知らない、何やってるか(笑)。だから訪ねていくんです。

林:松尾さんたちの音楽コンサートもあるんですね。場所をスパイラル(東京・南青山)にしたのは、何か意味があるんですか。

松尾:そもそも僕がバックバンドを従えて歌を歌うなんてこと自体が冗談なんですけど、どうせ冗談をやるんだったら、ふつうの汚いライブハウスとかじゃなくて、それこそブルーノートみたいな本格的なところでやったほうがシャレが利くんじゃないかと思ったんです。

林:ブルーノート、カッコいいじゃないですか。

松尾:ところが、会場が想像より高くて、これはちょっとしんどいなと思って探したら、スパイラルさんがいろいろと協力していただけるということで、それでスパイラルに落ち着いたんです。

林:初期のころのファンのお客さんも、今、歳(とし)きてますよね。

松尾:はい、歳きてますね。そういうお客さんもいるし、「『大人計画』って星野源もいるんだ」みたいな興味で見に来て、「星野源、こんな古くからやってる人たちの中でやってるんだ」みたいな発見もあると思いますね。

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「大人計画」で揉まれた星野源