三浦:たぶん。そうしないと「おまえは真正の共和党員ではない」というプラカードが会場にあふれてしまいますからね。どうせマイノリティーの票は取れないけど、民主党の白人の労働者の票は経済政策で取れるだろうと考えた。実際、今、民主党系の友人に「トランプになって何が変わった?」と聞くと、本音ベースでは「税金が下がった。自分は子育て世代だから、控除が増えた。とても助かる」と言うわけです。でも、これはオフレコ発言で、オンレコでは言えないわけですね。

林:なるほどね。

三浦:オンレコでは経済には一切触れず、「人種差別主義者で女性蔑視だ」という、いかにトランプがひどいことをやっているかということが出てくる。本質を見たうえで「トランプ嫌い」と報道が言うのは正しいんですけど、本質から目をそむけさせる効果を持っていたとすると、その報道は罪が重いなと思いますね。

林:娘のイバンカ・トランプさんが来日したときには、三浦さんもランチパーティーなんかにいらしたんですか。

三浦:いえいえ、ぜんぜん。

林:どうして招かれないんですか。野田聖子さんや、日本の女性国会議員とか女性の知識人とかは呼ばれたんでしょう?

三浦:ええ。私って、あんまりどこにも組み込まれてないんですよ。

林:でも、日本を代表する女性として、ああいうときに行ってほしいですよ。お話も合うだろうし。

三浦:正直、予定調和が苦手なんです。「三浦は何を言うかわからない」というのが向こう側にもあると思います。活躍している日本の女性って、ビジネス界の人は生き方が合理的ですね。私みたいに政治周りを論評する人間と違って、不要なところで対立しないでしょう。でも、そうしていると、女性の権利一つとっても、“キラキラ女子”の権利しか保護されなくなる。政治ってもっと範囲が広いので、私は耳に痛いことも言わなきゃいけない。そうすると雰囲気ぶちこわしになるんですよね。

(構成/本誌・松岡かすみ)

※週刊朝日2018年11月16日号より抜粋