ハロウィンのときにしかやってないアトラクションも秀逸。僕が行ったのは、「サイレンス・イン・ザ・ゴーストシップ」と言って、簡単に言うとゾンビのいるお化け屋敷。だが、ゾンビが目が見えないという設定で、音にだけ反応する。叫ぶとゾンビが寄ってきてしまう。つまりは「絶対に叫んではいけないお化け屋敷」なのだ。入るときは8人で1パーティー。ここで初めて会った人たちと一緒にパーティーを組み入っていく。入ると、ゾンビがうろついている。僕は口をおさえて声が出ないように歩いていく。だが、突然、横から現れたゾンビに、後ろの女子高生が絶叫する。すると、一気にゾンビが走って寄ってくる。これに、また声が出る。といった感じで進んでいく。声を出すのが当たり前のお化け屋敷に、声を出しちゃだめというバラエティー番組のような仕掛けを作り、ありそうでなかったアトラクションにしてしまう。他にもハロウィン時期だけやってるアトラクション、いくつか入りましたが、どれも簡単なアイデアで他のテーマパークでは決して経験できない体験ができる。USJの世界観やアトラクション。おそらく徹底的なリサーチを行い、そのデータを元に作っているのだろうが、それよりもまず、USJのスタッフがとても楽しんで作っている気がする。80~90年代のテレビみたいに。作り手の楽しさはきっと伝わる。大事だな。

週刊朝日  2018年11月16日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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