室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 来年上がる消費税。作家の室井佑月氏は、日本の税制に異議を唱える。

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 安倍首相は消費税を、来年10月1日に予定通り10%に引き上げると表明した。社会保障費の財源を確保するため、増税は不可避だと判断したからなんだって。

 テレビのワイドショーなどでは、この話題をかなり長く扱っていた。たとえば、軽減税率について。

 おなじ店で買った食品でも、持ち帰ると8%の消費税、その場で食べると10%になるとかさ。クレジットカードなどを使うと、2%ぶんのポイントが還元される案が出ているとか。

 話題にしなきゃならないのはそこなのかね?

 10月19日、植草一秀さん(経済学者)の『知られざる真実』というブログに、『メディアが伝えぬ税制改悪の知られざる真実』というコラムが載っていた。

 植草先生は、<消費税増税を強行実施すれば、日本経済は確実に崩壊する>という。<しかし、それ以上に重大な問題がある>と。

 先生は1989年度と2016年度の税収構造を比較する。

 税収規模、1989年度54.9兆円→2016年度55.5兆円。

 ただ、税収の内訳、構造が変わっている。

 所得税は21.4兆円→17.6兆円に。法人税は19.0兆円→10.3兆円。消費税は3.3兆円→17.2兆円と。

<この27年間の変化は法人税が9兆円減り、所得税が4兆円減り、消費税が14兆円増えたことだけなのだ>

<多くの国民は騙されている。日本の財政状況が危機的で、社会保障制度を維持するためには消費税増税が必要であると聞かされてきた。しかし、現実はまったく違う。法人税減税と所得税減税を実施するために消費税増税が行われてきただけなのだ>

 マジかよ。

 うちら多くの国民は、大企業や一握りのお金持ちの幸せのため、ぎりぎり生かされている存在なんだな。数字まであがっている以上、こちらをテレビで流すべきではないか? 当初の約束と違い、消費税を社会保障費以外のことに使うと変更したこともな!

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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