その理由は、(1)家事が楽しいと思える時期にやらせることで、早いうちから「家事ができる子」になること。中学生にもなれば手先が器用になっているので、十分に家事を任せられます。しかし、その時期に初めて「家事を手伝って」と言っても反抗期が邪魔をして、素直にやってくれないどころか、嫌がる子どももいると思います。当然、やり方だってわからないわけです。何かを習得するときは、楽しいと思えるうちに技術を教えることがポイントだと思います。

 では、家事を覚えた子どもは反抗期になってもやってくれるのか……もしかしたらやってくれないかもしれません。ただ、幼い時期というのは、大人に比べて力がありません。私が小さい時期、お風呂掃除や掃除機かけをすると汗びっしょりになって、「家事はとてつもなく大変なことだ」と感じました。さらに母親は、毎日異なる献立を考えて料理もしていたのですから、「こんなことを毎日やっているなんて大変だなぁ」という尊敬の意識が芽生えました。

■家族だからこそ、尊敬できる点が多いほうが信頼関係をうまく築ける

 おかげで、「積極的に家事を手伝おう」という気持ちは、自然と持っていました。長い間一緒に暮らすわけですから、家族とはいえ子どもも親も、お互いに「こういうところが嫌」と思っている部分はあると思います。そんななかで、「こういう点が尊敬できる」という気持ちが少しでも多くあるほうが、信頼関係やコミュニケーションがうまく築けるのではないでしょうか。

 実際、私も子どもを産んだ後に初めて、「1人でも大変なのに3人育てた母親は、相当大変だったろうな」ということに気づきました。実際に経験をしてみないと、大変さに気づけないことは多々あるはずです。

 現在は、男女平等が叫ばれている時代。男性が家事をすることはわりと普通になってきました。私の周りで男性と同様に働いている女性の場合、家事に「分担制」を取り入れています。バリバリに働いている友人は、家事の大変さに比例したポイントをつけ、妻と夫が同じポイントになるように決めているそうです。家事の代行サービスもありますが、自分たちがいない間に家にいられるということに、なんとなく抵抗を覚える人も多いでしょう。将来は今よりもっと女性が社会進出していくと考えれば、男性は「手伝う」というより、同等に「家事をする」という家庭が増える時代になっていくと思います。そんなときに、「家事のやり方がわからない」と言ってやらない男性は、時代の波にのれなくなるでしょう。

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