首の後ろには多くの血管が集中している。そこでここに少し熱めのシャワーをあてて、血行をよくして深部体温を上げる。それからふとんに入る前に、肩甲骨の周辺を回す。

「肩甲骨の周辺には熱をつくりだす褐色脂肪細胞が多く存在しています。加齢と共に褐色脂肪細胞の数は減少していきますが、肩甲骨の周辺を回せば褐色脂肪様の細胞の働きが活性化して深部体温が上がる可能性もあります。また肩甲骨まわりの筋肉がこっていると交感神経が過剰の状態になっていることが多いので、コリをほぐし副交感神経優位に導く必要があるのです」

 最後にふとんに入ったとき「1分間足首曲げ深呼吸」で体内の熱を逃がす。

「高めた深部体温が下がるときに人間の体には心地よい眠りが訪れます。この足首曲げ深呼吸は、体内の熱の放散に大きな役割を果たします。熱が外へ放たれれば、深部体温の低下もスムーズに促されます。また深呼吸によって副交感神経が高まり、リラックスして眠りにつくことができます」

 気候が不安定な日が続き、この秋は体にも疲れがたまりがち。

「でも、たとえ睡眠時間を長くとっても、ぐっすり眠れているとは限りません。寝たつもりになって疲れをどんどんためていく『隠れ不眠』にならないよう、ぜひ『ぐっすりストレッチ』を実践してみてください」

 睡眠の質の向上には、世の中にあふれる「情報」との距離感を保つことも大事だと白濱さんは考えている。

「いまはネットを見れば常にさまざまな情報が飛び込んできます。そのために交感神経が働きすぎて眠りにつけない方も多いのです。情報は取捨選択すること。知らなくてもいいことは知らなくていいと割り切ることです。この意識を持って暮らしていかないと質の高い睡眠は確保できません。睡眠負債をためないためにも、『ネット漬け』の暮らしからは脱却したいですね」

 かわって、リフレクソロジストの立場から快眠のコツを教えてくれたのは、今枝昌子さんだ。リフレクソロジーは足裏のマッサージなどによって、心身の不調の改善をめざす療法だ。

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