本田圭佑(左)は豪州リーグでもう一花咲かせることができるか (c)朝日新聞社
<br />
本田圭佑(左)は豪州リーグでもう一花咲かせることができるか (c)朝日新聞社

 ワールドカップ(W杯)ロシア大会後に移籍した、豪州のメルボルン・ビクトリー(メルボルンV)の元日本代表の本田圭佑(32)が10月20日、豪州Aリーグの開幕戦に先発出場し、頭で先制点を決めた。試合は1対2で負けたが、本田は攻守に活躍した。豪州在住で現地のスポーツ事情に詳しい、ライターの植松久隆さんは、Aリーグのレベルについてこう評する。

「早速、主将マークを腕に巻いている姿に驚きました。Aリーグは優勝チームで日本のJ1中位レベル。過去にも有名選手が参加していますが、今シーズンは本田が一番の大物です。この試合も攻撃の中心でした」

 本田はオーバーエイジ(OA)枠(24歳以上の選手)での東京五輪出場を宣言。カンボジア代表の“実質”監督や、米国の人気俳優ウィル・スミスとの投資ファンドの立ち上げなど、世間を驚かせた。3足のわらじをはく本田に対し、サッカーファンからは「サッカーに集中しろ」「ビジネス臭が強い」と批判の声が出ていたが、サッカージャーナリストの六川亨さんは、本田に期待を寄せる。

「彼はそういうことをプラスに変えていくと思います。日本ではアスリートにその道一筋であることを求めがちですが、注目を浴びれば、豪州やカンボジアのサッカー人気を高めますし、アジア戦略に取り組むJリーグや日本サッカー界にとってもよいことです」

 だが、東京五輪への出場については、六川さんも厳しいと判断する。

「攻撃的な選手が多く、OA枠だと香川、武藤、乾といったW杯組や、先日のウルグアイ戦で活躍した南野や中島もいますし、20歳の堂安もいます。ボランチをやるにしても、年齢に伴いスピードがないのは致命的。五輪は18人と登録人数が少なく、最大3人のOA枠を使うとしても、1枠は弱点であるゴールキーパーで間違いないでしょう。残り2枠に果たして本田の入る余地があるのか」

 本田はこれまで何度も厳しい声にさらされてきたが、W杯で3大会連続ゴールを決めるなど大舞台で結果を出してきた。豪州でも結果を残し、東京五輪出場への糸口をつかめるか。(本誌・大塚淳史)

週刊朝日  2018年11月2日号