帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
写真はイメージです (c)朝日新聞社
写真はイメージです (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「指圧・マッサージと認知症」。

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【ポイント】
(1)指圧は中国古来の治療法で、経穴、経絡を刺激
(2)マッサージは皮膚と筋肉に対する刺激
(3)いずれも認知症予防が期待できる

 指圧とマッサージは似ているようで違っています。まあ、指圧はマッサージに含まれるという考え方もできるのですが。

 指圧は中国古来の治療法で、その原理は経穴、経絡を刺激するところにあります。この経穴、経絡というのが中国医学の独特な考え方です。

 中国医学では生命のエネルギー、気が体の中を滞りなくめぐっていることで、全身に力がみなぎり、健康になると考えます。この気が流れる上下のルートを経脈、そこから分かれたルートを絡脈といいます。合わせて経絡といい、全身に行きわたっているのです。この経絡の節目に当たるのが経穴で、一般にツボといわれるものです。鍼や灸はこの経穴、経絡を刺激することで、気の流れに働きかけて治療するのですが、指圧も同様です。

 この経絡は西洋医学の考え方で解剖しても見つかりません。解剖で存在が証明されるのは血管や神経で、経絡ではないのです。

 私はこの経絡を理解するには、生命の場という概念が必要だと思っています。目に見えない電磁波を理解するには場の理論が必要です。同様に生命にも場の理論があって、その生命場のネットワークが経絡であり、トリガーポイントになるのが、経穴だと考えています。つまり、経絡も経穴も形のあるものではないのです。

 いずれにしろ、経穴、経絡を刺激する指圧は、生命のエネルギーを高めます。生命のエネルギーが高まれば、免疫力、自然治癒力が上昇します。それが認知症予防につながることは、これまで何度も語りましたが、間違いのないことでしょう。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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