室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 月刊誌『新潮45』が休刊した。作家の室井佑月氏は、事の発端となった杉田水脈議員の論文に関連して、こういう。

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 なぜ、差別はなくならないのだろうか。女だから、日本人ではないから、LGBTだから、様々な理由で、人は人を差別したがる。

 東京医科大学の性差別受験に関して、「子どもを産む性である女は、一時、仕事を休まねばならないから」といった意見があったが、子どもを作らない女だっているし、休んだぶん以上に男より出来る女医だっているはずだ。てか、子どもが赤ん坊のとき、旦那が面倒見たっていいのよね。

 中国人や韓国人叩きに精を出している者もいるが、中国人や韓国人は嫌なやつ、そう断定していいものなのか。

 あたしがこれまで出会った嫌な人は、圧倒的に日本人が多かったぞ。そりゃあ、そうだ。この国で生きていれば、日本人との関わりがもっとも多いはずなんだから。

 日本人にも中国人にも韓国人にも、嫌な人は一定数いる。逆に、どこの国にも良い人だっている。なのに、国籍でレッテルを貼るのはおかしいよ。

 LGBTについては、ちょっと前、「新潮45」に載せられた杉田水脈自民党衆院議員の「生産性がない」という言葉が酷(ひど)いと話題になった。ずいぶん叩かれたから、書いた本人も、それを載せた出版社も、反省しているのかと思った。

 が、違った。またまた「新潮45」で、「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特集が組まれた。

 そこには、テレビなどで性的嗜好をカミングアウトすることは、パンツを脱いでいるようなもの、LGBTを認めるなら、痴漢の触りたくなる気持ちも認めよ、という乱暴というか、トチ狂った識者の論文が載っていた。

 国がしなきゃならないのは、LGBTより少子化対策、だという論文もあった。

 なんなんだろか、この人たちは。

 LGBTの人は、マイノリティーである自分らを優遇してくれなんて一言もいっていない。一方、少子化対策はこの国の大問題であるのだから、税金を投入してでもなんとかすべき問題だろう。まったく違う話だ。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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