弁天山美家古壽司 浅茅/慶応2(1866)年創業。江戸前寿司の歴史と文化をいまに継承する名店でありながら、下町・浅草らしい気取りのなさも味のうち。(東京都台東区浅草2-1-16/営業時間:平日・土11:30~14:00最終入店、17:00~20:00最終入店、日・祝11:30~18:00最終入店、休み:月・第3日曜日)(撮影/岸本絢)
弁天山美家古壽司 浅茅/慶応2(1866)年創業。江戸前寿司の歴史と文化をいまに継承する名店でありながら、下町・浅草らしい気取りのなさも味のうち。(東京都台東区浅草2-1-16/営業時間:平日・土11:30~14:00最終入店、17:00~20:00最終入店、日・祝11:30~18:00最終入店、休み:月・第3日曜日)(撮影/岸本絢)
おすすめの握り10貫を提供する「浅茅」(5500円)は、昆布締めの平目、酢締めの新子、軽く“さわ煮”にして甘辛い“ツメ”を塗った穴子、甘辛く煮た煮イカなど、さまざまな仕事をほどこした寿司が味わえる。5代目主人、内田正さんに江戸前寿司のうんちくを聞きながらつまむのも楽しい。税別。(撮影/岸本絢)
おすすめの握り10貫を提供する「浅茅」(5500円)は、昆布締めの平目、酢締めの新子、軽く“さわ煮”にして甘辛い“ツメ”を塗った穴子、甘辛く煮た煮イカなど、さまざまな仕事をほどこした寿司が味わえる。5代目主人、内田正さんに江戸前寿司のうんちくを聞きながらつまむのも楽しい。税別。(撮影/岸本絢)

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は俳優・大和田獏さんの「弁天山美家古(みやこ)壽司 浅茅(あさじ)」の寿司。

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 僕は4人兄弟の末っ子。一番上の兄がこちらの5代目のご主人の大学の先輩だったんです。僕が小学生の頃、夏休みに、江戸っ子らしく下駄を履いて福井の実家に遊びにこられたのが印象的でした。そんなご縁もあり、お店に伺うようになりました。

 最初に訪ねた時は、まだ先代のお父様がカウンターに立たれている頃でした。初めて握ってもらった時は驚きましたね。寿司のおいしさは魚の鮮度ではなく、握る技で決まるんだと初めて知りました。シャリを横から見たら扇子の“地紙型”になっていると聞き、なるほどその姿が美しい。ネタのすべてに丁寧な仕事がなされていて。口に入れると、酢飯とわさびとネタが一体となってほろほろと口の中でとけあう。これが本物の江戸前寿司なんだと教わりました。そして今も5代目のご主人が、この技術をしっかりと継いでいらっしゃる。役者にも通じることですが、お客さまに満足していただくには確かな技術や感動が必要なんだと。この店に行くたびに、あらためて痛感します。

(取材・文/今中るみこ)

「弁天山美家古壽司 浅茅」東京都台東区浅草2-1-16/営業時間:平日・土11:30~14:00最終入店、17:00~20:00最終入店、日・祝11:30~18:00最終入店/定休日:月・第3日

※週刊朝日 2018年9月28日号