
夏の甲子園大会は8月20日に準決勝が行われ、第1試合は注目の金足農が強打の日大三と対戦。金足農の吉田輝星が完投し、2-1で勝利。秋田県勢として103年ぶりの決勝進出を決めた。試合後、打席で吉田と対戦した日大三の選手たちは「ストレートの質が違う」と脱帽の様子。日大三の選手に「決勝は絶対抑えてくれ」と声をかけられると、吉田は力強く「任せろ」と言い切った。
【フォトギャラリー】見逃せない! 今夏、熱戦を繰り広げた高校球児たち
* * *
金足農は1回、1番菅原天空が中前打で出塁すると、得意の犠打で進め2死二塁。4番打川和輝の打球は左翼線に落ちて1点を先行した。
金足農は5回、2死二塁から5番大友朝陽の中前適時打でリードは2点。これで金足農の吉田輝星の投球に余裕が出てきた。
5試合目の登板となり、疲れは見えていたが、準々決勝までとは異なり、変化球でストライクを先行する投球が、「150キロ対策」をしてきた日大三打線を翻弄。先頭打者の出塁が多かった金足農が終始ペースをつかんでいた。
日大三は8回、1番金子凌、2番木代成の連打などで2死一、三塁とし、4番大塚晃平の左前適時打で1点を返した。
ここで1点に抑えたことで、金足農の関係者は34年前の「悪夢」を振り切ったに違いない。1984年の夏、準決勝で対戦したPL学園を8回まで2-1でリード。8回も2死まで取り、清原和博を歩かせ、桑田真澄に左翼席へ逆転本塁打を打たれてしまい、そのまま2-3で敗れてしまった。
金足農は、1点リードで迎えた9回も吉田がマウンドへ向かう。スタンドから大きな拍手が沸き、吉田の投じる1球ごとにどよめきが起こる。1死から連打を許し、一、二塁のピンチ。だが、左飛、中飛に抑え、秋田県勢として103年ぶりの決勝進出。「先輩たちの記録を追い抜く」と公言した吉田は、見事に有言実行を果たした。
対戦した日大三の主将日置航は「変化球中心だったので、ベンチでは序盤から行けるぞと話していた。だが、終盤まで体力、球速が落ちずに、ボールも気持ちもすばらしかった」と脱帽の様子だった。8回1死一、二塁で打席が回ったが、左翼飛に。「打ったのはスプリットだと思う。あそこで自分が打てなかったのが勝負の分かれ目だった。ただ悔しかった」と振り返った。