東京都受動喫煙防止条例が6月に成立し、飲食店での禁煙は強化される。居酒屋チェーンでも、条例が2020年に全面施行されるのを見据えた動きがある。
ワタミや養老乃瀧など、大手チェーンが試験的に禁煙を導入。そんななか注目されるのが、6月からほぼ全店で全面禁煙とした串カツ田中だ。
公表された6月の営業成績によると、客数は全体的に増加。特にファミリー層が大きく伸びた。
一方で客単価と売上高は、前年同月比でそれぞれ減少している。運営会社の「串カツ田中ホールディングス」は売上高の減少について、串カツ全品108円のキャンペーンと、アルコールが飲めずお通し代も付かない未成年客の増加によるものだと分析している。
「客単価よりも客数を重視しています。未成年の方でも、10年後、20年後には新しい家族を連れてまた来てもらえる。そんな永く愛される存在でありたいと思っています」(広報担当者)
全国の飲食店を全面禁煙にすれば、4兆円を超えるプラスの経済効果が期待できるという分析もある。チェーン居酒屋評論家の樫原叔子さんも禁煙の流れは止まらないとみる。
「チェーン居酒屋では女性と高齢者が増えている傾向があります。全面禁煙にすればその層にアピールでき、子供でも安全というイメージアップにつながります。今後も禁煙化の動きが止まることはありません。全面禁煙を導入するなら、先駆者であることが大切。串カツ田中はこれまでも様々な取り組みに積極的でした。売上高の減少は一時的なものでしょう」
今後は居酒屋チェーンも、完全禁煙のところと、喫煙席を一部残すところに分かれ、すみ分けしていく時代になりそうだ。どちらが正しいとは言い切れないが、完全禁煙の店が増えるのは間違いなさそうだ。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2018年8月10日号