鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
車内マナーについては「賛否両論」(写真はイメージです) (c)朝日新聞社車内マナーについては「賛否両論」(写真はイメージです) (c)朝日新聞社
 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「電車内マナー」について。

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 先日、ブログにある記事を書いたらネットニュースになり「炎上」しました。

 入谷の朝顔市。10年ほど前に妻と二人で行ってとても楽しかったので、息子といつか一緒に行きたいと思い、電車に乗って行ったのです。土曜の夕方。そこそこ混んでた車内。友達家族と6人で行ったのですが、僕と友達の旦那さんは立ってつり革。妻と友達奥様は座り、ひざの上にそれぞれ子供が乗っていました。息子は泣きわめいてたわけではありませんが、僕と妻と3人で一緒に遊びに行くことにとてもテンション上がってまして、電車の中で時折大きな声を出していました。もちろんそのつど妻は注意したり、口を塞いだりしています。

 僕も、息子が大きな声を出したときには、周りの人のリアクションを気にします。途中で寝てくれたが、それまでは、大きめの声で話すことも何度もあった。

 そしたら、途中、近くにいた20代?の女性が、降りるときに僕の目を見てにらんで出ていきました。多分、いや確実ににらんで出ていったと思います。

 にらむ女性の気持ちもわかるし、だけど、子供って騒ぐし。野放しにしていたわけでもないので、とても難しい……というようなことを書きました。そしたら「炎上」。「賛否両論激しかった」のです。

 電車の中で騒ぐ子供問題。まず子供が電車内で騒ぐことに寛容な人の意見としては、「子供だから仕方ない」「もっと周りが寛容になれ」というものや、中には「自分が子供のときだって同じことしてただろ」なんてものもあって「確かにな」と思わされたり。

 批判的な意見の中には「躾をちゃんとしろ」とか、親に対して否定的な意見が目立ち、中には「その女性が、子供ができない女性かもしれないし、子供を亡くした女性かもしれない」というものもあり、そこでも「確かに」と気づかされる。

 
 本当に半々といった感じだったが、正直、炎上するほどのことだと思ってなく書いたので、意見の中には僕ら夫婦のことを叱る意見もまあまああった。もう一度言うが、子供を野放しにしていたわけではない。

 じゃあ、大きな声でしゃべったときにきつく叱ったかというと、そこまではしてない。ちゃんときつく叱っていたら、親のその態度に納得してくれる人もいるのか? 「この親はちゃんとわかってんだな」とアピールできたら、騒ぐ子供に対して批判的な人も減るのだろうか?

 どちらにせよ、子供が騒いだときに野放しにするのはよくないし、「うるさいな」と迷惑に思う人がいることを理解したうえで行動することは大切だ。

 と、同時に思う。この子供のことだけではなく、みんな、どこまで周りの人のことを気にして生きているのだろうと。

 自分の幸せや喜びが人を傷つけていることもあるかもしれない。意図的に人を傷つけるのはダメだが、自分たちの日常、どこまで周りに対して繊細に生きるべきなのか? どこかで線引きして生きないと、幸せであることも幸せでなくなる。これはよくないよな。やはり。

週刊朝日  2018年8月3日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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