豪雨被害を受けた愛媛県宇和島市で、土砂に埋まったみかん (c)朝日新聞社
豪雨被害を受けた愛媛県宇和島市で、土砂に埋まったみかん (c)朝日新聞社

「みかん畑は収穫するまでに10年ほどかかる。いま65歳ぐらいの人だと、それまで待てるかなと心配している」

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 西日本豪雨で愛媛県宇和島市周辺のみかん畑の一部は崩壊するなど大きな被害を受けており、地元農業関係者は一から出直すとなれば長い時間がかかると嘆いている。

 7月初旬の西日本を中心とした豪雨で死者は220人を超え、行方不明者の捜索が続き、道路や鉄道が寸断され、断水が続く地域もあるなど各地に大きな被害をもたらした。かんきつの出荷量が日本一の愛媛県では急斜面のみかん畑が多く、宇和島市周辺の地元農業関係者によると、1割程度に崩壊か甚大な被害が出ているという。残ったみかん畑でもパイプラインや配管の破損で散水が難しくなっているところもあり、全体で50ぐらいあるみかん畑のうち、30ぐらいにしか水を回せないという。

 農林水産省は職員などを派遣して現地調査をしているが、人力で散水するのが困難なみかん畑が広範にわたっていることを確認したという。

「いまだに道路が寸断されて現地確認ができていない。ドローンを飛ばしたりして被害状況の把握に努めているが、時間が経つほど被害が大きくなるかもしれない」(地元農業関係)

 山梨県とともに桃やぶどうの産地として有名な岡山県でも、豪雨で果樹が冠水するなどの被害が出ている。倉敷市真備地区では、地元農業関係者によると、全てを調べられていないが、一部でかなり甚大な被害が出ている。

「冠水したものが今後、息を吹き返すのか、どうなるのかわからない。桃やぶどうは収穫できるようになるまでに4、5年かかる」

 また地元自治体担当者は土壌が汚染されていると今後どうなるのかわからないと懸念している。

「1年1作ものなので、専業農家は今季の収入がなくなるところが出てくる。収穫できるまでには数年かかるため、収入が数年なくなるかもしれない」

 岡山県総社市でも桃やぶどうの被害が多い。地元自治体担当者はこう話す。

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