「基本的に料理は手間のかかる作業です。でもどうせ手間がかかるのであれば、きちんと手間をかけて、おいしく食べたいですね」

 続いて夏野菜の炒め物をレクチャーしてくれたのは、薬膳料理研究家のパン・ウェイさんだ。

「暑い季節ですが、そうそう冷たいものばかり食べていては胃が荒れてしまいます。身体の調子を整え、体内の水分バランスを保つ北京の夏野菜炒めをご紹介します」

 トマトとピーマンのにんにく炒めはきわめて簡単。

「材料を強火に近い中火で炒めるだけです。薬膳料理ではトマトは心臓の機能を整える野菜、ピーマンは血流をよくする野菜です。強めの火で炒めて水分もあえてたっぷり出し、つけ麺のつゆなどにも使うのです」

 きゅうりと豚肉の豆板醤炒めもサッと炒める。

「きゅうりは、暑さでバテ気味の身体の熱やむくみをとってくれます。きゅうりもトマトも生で食べられる野菜ですが、強めの火でしんなりさせれば、高齢の方でも食べやすくなります。これも、身体をいたわる薬膳料理の知恵ですね」

(赤根千鶴子)

≪野菜炒め≫
●材料(1人分)
豚肩ロース薄切り肉30g、にんじん30g、もやし60g、キャベツ25g、ピーマン15g、サラダ油小さじ4、ごま油小さじ1/2、塩1g、黒胡椒適宜

●作り方
(1)豚肩ロース肉は2cm幅くらいに切る。にんじん、キャベツ、ピーマンは短冊切りに。フライパンにサラダ油小さじ1をたらし、肉を広げて入れて、弱火でじっくり加熱。肉の色が白っぽくなってきたら、裏返す。肉の赤いところがなくなったら取り出し、キッチンペーパーに余分な油を吸わせる。(2)湯を沸かし、強火でにんじんを約2分茹で、皿にとっておく。(3)もやし、キャベツ、ピーマン、にんじんを冷たいフライパンに入れ、小さじ3のサラダ油を全体にからめてから点火。弱火で8分炒める。炒めるといっても混ぜ合わせるのではなく、時々上下をひっくり返す。(4)(1)の豚肩ロース肉を入れ、塩をしてさらに2分弱火で加熱。(5)フライパンの真ん中部分の材料を端にどかし、中火にする。そしてフライパンの真ん中にごま油を投入し、混ぜ合わせて完成。

次のページ